
7月13日に行われたMLBドラフトで全体1位に指名されたのは、イーライ・ウィリッツ。飛び級でドラフト指名の権利を得たため、1965年に始まって以来、ドラフト史上最年少の全体1位指名選手となった。父親が元プロ野球選手という優れた遺伝子に加え、子どものころから、クラブハウスに出入りし、プロの世界で成功する術を学んでいたことも大きい
ナショナルズが7月13日、MLBドラフト全体1位でオクラホマ州のフォートコブ=ブロックストン高校のイーライ・ウィリッツ遊撃手を指名した。ウィリッツは、元エンゼルス外野手レジー・ウィリッツ(2006年〜11年)の息子で、ドラフト史上最年少の17歳で全体1位指名選手となった。
スポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」のキース・ロー記者は身長185cmでスイッチヒッターのウィリッツについて「スイングはコンパクトで、コンタクト重視。守備は柔らかく滑らかなグラブさばきに加え、強肩で俊足。体が強くなって二塁打が増え、打率.300近くを打てるようになれば、平均以上のレギュラーになれる」と評している。
MLBでは、選手やコーチの息子が同じ野球の道に進みドラフトで指名されるケースは珍しくない。ドジャースのディノ・エベル三塁ベースコーチの長男のブレイディ内野手もそうで、ロサンゼルス近郊のコロナ高でプレーしていたが、全体32位でブリュワーズに指名された。
お父さんは5月、筆者にこう話していた。
「息子は、身長190cm、体重88kgの左打ちで、遊撃と三塁を守っている。スカウトたちは高校時代のコーリー・シーガーを思い出させると言っているし、ブレイディもシーガーが好き。彼はLSU(ルイジアナ州立大)に進学の約束をしているが、もしドラフトで良い順位ならプロに進むかもしれませんし、そうでなければLSUに進学します。どちらでも素晴らしい選択肢です」
全体32位だからプロに行くのだろう。なぜ選手やコーチの息子がプロに行くような良い選手に育つのか。ディノは選手としては3A止まりだが、メジャー20年のコーチ歴がある。
「私の息子たち(ブレイディと次男トレイ)は生まれたときから野球に囲まれて育ちました。私がエンゼルスにいたときはまだ幼かったけど、クラブハウスやメジャーのフィールドで長い時間を過ごしていたし、今はドジャースにいて選手たちと時々練習もしています。
大谷翔平、ムーキー・ベッツ、マイク・トラウト、フレディ・フリーマン、シーガー……こういった選手たちと接してきているので、プロの世界を肌で感じられた。それが大きなアドバンテージになっていると思います」
ドラフト当日、ドジャースは遠征でジャイアンツと対戦していたが、エベルコーチはアンドリュー・フリードマン編成本部長の許可を得て、自宅に残り、息子と一緒に指名の知らせを受けた。こういうところもアメリカらしい。ちなみに次男は来年が高校最終年で、やはりドラフト上位指名候補。「誕生日はブレイディと14カ月違います。トレイも進学先にテキサスA&M大を決めましたが、彼も指名の可能性がある。右投げ右打ちで、スカウトからは『アレックス・ブレグマンのような打撃をする』と言われているんです」。
MLB史上、親子選手は255組、その中にはトニー・グウィン、ケン・グリフィー、カル・リプケンといった殿堂入り選手も18人含まれる。優れた遺伝子に加え、子どものころから、クラブハウスに出入りし、プロの世界で成功する術を学べることが大きいのである。
文=奥田秀樹 写真=Getty Images