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【MLB】女性審判がついにMLBデビュー フルタイム昇格は数年後か

 

現地時間8月10日のブレーブスとマーリンズ戦で史上初めて女性として球審を務めたジェン・パウォル氏。今はまだフルタイムでのMLBの審判ではなく、2〜3年はかかるとされている。夢の舞台に立ったパイオニアの今後に注目だ


 ジェン・パウォルさんがMLBの公式戦で初めて女性で審判を務めた。現地時間8月9日、ブレーブス対マーリンズのダブルヘッダーで一塁塁審と三塁塁審に配置され、翌10日には球審となった。記念すべき試合はブレーブスが7対1で勝利。

 マーリンズのクレイトン・マカロー監督は「ジェンは本当によくやっていたと思います。非常に落ち着いていて、試合をしっかりとさばき、管理していました。彼女にとって大きな一日であり、MLBにとっても大きな日です」と語っている。

 これでアメリカの主要プロスポーツ機構の中で、女性の審判を起用していないのはNHLだけとなった。NBAは1997年にヴァイオレット・パーマー氏とディー・カントナー氏が審判を務め、初めて性の壁を打ち破った。MLSはその翌年、サンドラ・ハンター氏とナンシー・レイ・マコーミック氏が同日に別々の試合を担当した。NFLで初の女性審判はラインジャッジのシャノン・イースティン氏で、2012年にデビューした。

 パウォル氏は、ニュージャージー州で高校時代にサッカーとソフトボールの州代表選手として活躍。ホフストラ大ではディビジョンのソフトボール選手としてプレーし、その後は女子野球のナショナルチームでもプレーした。

 10年からNCAAソフトボールの審判を始め、5年後にはフロリダ州べロビーチのマイナー・リーグ審判養成アカデミーに入学。ここからプロ野球の審判としてのキャリアが始まった。

 その後、ルーキー・リーグレベルのガルフ・コーストリーグでの仕事を得て、23年にはマイナー・リーグの最高レベルである3Aまで昇格。昨年には、パム・ポステマ氏(1988年)、リア・コーテシオ氏(2007年)に続き、MLBのスプリングトレーニングの試合を担当した3人目の女性となった。だが2人の先輩はMLBの公式戦には届かなかった。

 MLBの審判になるのは性別に関係なく、とても難しい。資格を得てマイナー・リーグで働き出しても、3Aまでたどり着ける審判はごくわずか。そこで初めて代役としてMLBの試合に入る資格を得られる。パウォルさんも今はまだフルタイムではなく、そうなるまでに少なくとも2〜3年はかかる。週末の2試合が終わり、パウォル氏はまたマイナーに戻った。

 しかしながらパウォル氏は報道陣に対して「夢が叶いました。まだ夢の中にいるような感覚です。家族に、そして素晴らしい職場環境をつくってくれたMLBに心から感謝しています。感謝の気持ちでいっぱいです」と話している。

 パウォル氏の次のMLBでの担当試合は未定だ。「ローバー」と呼ばれる立場で、MLBの審判員が病気やケガをしたときに呼ばれる。マスクや体にファウルボールを受けた脳震盪を用心して休むこともある。

 ちなみにこういった代替審判の判定の腕前はMLBとはそん色ない。「アンパイアスコアカード」によると、今季ここまで登板した代替審判17人全体の中央値は94.49%(189試合)の正解率で、全審判員の平均94.22%とほぼ同じだ。パウォル氏の92.72%(151球中140球を正確に判定)は、初登板としては十分に立派で、あと2球の判定が正しいと評価されていれば、94%グループに入っていた。フルタイムになるまでパイオニアは努力を続ける。

文=奥田秀樹 写真=Getty Images
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メジャーから発信! プロフェッショナル・アイデアの考察[文=奥田秀樹]

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