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【MLB】野球殿堂、今回の初年度組は厳しい船出5%の壁を乗り越えられるか

 

2013年に楽天の初めてのリーグ優勝、日本一に貢献したアンドリュー・ジョーンズ。05年に51本塁打を放ちMVP投票2位に輝いた打力と10度のゴールドグラブ賞を獲得した守備力を誇る。昨季は8度目の挑戦で66.2%、75%の壁を越えられるか


 また、野球殿堂(クーパーズタウン)投票の季節がやってきた。筆者を含め、約400人の投票者は、誰がその栄誉に値するか頭を悩ませる。2025年は、偉大なイチローの殿堂入りが最大の話題となった。

 しかし、今年新たに候補者リストに加わったメンバーは、選考が非常に厳しい。コール・ハメルズ、ライアン・ブラウン、マット・ケンプ、アレックス・ゴードン、ハゥイ・ケンドリック、ニック・マーケイキスら12選手である。

 それぞれが素晴らしいキャリアを残したが、殿堂となると話は別。仮にこの中から殿堂入りする選手が出るとしても、その道のりは非常に長く、8〜10年目までもつれ込む可能性が高い。

 なお、5%の得票ラインを超えられなければ、翌年の投票対象に残ることはできない。初年度候補者が誰ひとりとして翌年に残れなかった最後の例は1984年で、当時のトップはウィルバー・ウッド投手。通算164勝156敗、防御3.24という実績ながら得票率は3.5%に終わった。過去40回の投票で、初年度候補者のうち5%を超えたのが1人しかいなかったケースは5度しかない。

 今年の初年度候補の中で最も有望なのはハメルズだ。2008年、フィリーズを世界一に導き、ワールド・シリーズMVPに輝いた。ポストシーズンでは5試合に先発し、防御率1.80の圧巻の投球を見せた。08〜11年のポストシーズン12先発で、チームは9勝。

 ただしサイ・ヤング賞投票でトップ5に入ったのは1度だけだ。ブラウンは新人王、MVP、オールスター6度選出と実績は十分だが、薬物使用による出場停止の影響が大きい。今回殿堂入りが期待できるとすれば、昨年5%のラインを超えながら75%に届かなかった再候補組だ。

 カルロス・ベルトランは394票中277票(70.3%)、アンドリュー・ジョーンズは261票(66.2%)を得た。ベルトランは17年アストロズのサイン盗み問題の影響で1年目は46.5%に留まったが、その後57.1%、70.3%と数値を伸ばしてきた。今回が4度目の挑戦で、通算2725安打、435本塁打、新人王、オールスター9度など実績は文句なし。今年こそ75%に到達する可能性が高い。

 ジョーンズは、初年度(18年)の得票率がわずか7.3%と落選寸前のスタートだったが、8度目の挑戦となった昨年は66.2%まで伸ばした。ゴールドグラブ賞10度は圧巻であり、05年には51本塁打128打点でMVP投票2位となった。

 しかし、その年を除きMVP投票でトップ5入りがないことから評価が低かった。ちなみに7.3%という低いスタートから殿堂入りした例はこれまでない。残されたチャンスはあと2年である。

 このほか、今年の殿堂入りは厳しそうだが、チェイス・アトリー(157票、39.8%)、アンディ・ペティット(110票、27.9%)、フェリックス・ヘルナンデス(81票、20.6%)あたりは得票率を伸ばしそうだ。

 一方、アレックス・ロドリゲス(146票、37.1%)、マニー・ラミレス(135票、34.3%)らは薬物問題が厚い壁となり、バリー・ボンズやロジャー・クレメンス同様、殿堂入りは厳しい。

 昨年のイチローとC.C.サバシアは別格で、それぞれ99.7%、89.8%の票を得て初年度で殿堂入りを果たした。言うまでもなく、こんな選手はそう多くは現れないのである。

文=奥田秀樹 写真=Getty Images
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メジャーから発信! プロフェッショナル・アイデアの考察[文=奥田秀樹]

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