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【MLB】主力3人流出でも揺るがぬ再構築 メッツ、スターンズ流改革の正念場

 

25年オフに次々とチームの改革を進めているスターンズ編成本部長。投打の主力3選手が他チームへと移籍。オーナーのコーエンとともにスターンズ編成本部長は、ファンからの批判を受けながらも、勝てるチームへと改革している


 メッツはわずか2週間半の間に、ピート・アロンソ、エドウィン・ディアス、ブランドン・ニモという、ファンに愛された主力3選手を失った。

 ニューヨークのメディアは「ファンにとって強烈な打撃で、フロントへの怒りが渦巻いている」と報じている。ドジャースに匹敵する資金力を持ちながら、オーナーのスティーブ・コーエンと編成本部長デービッド・スターンズは、いま大きな逆風にさらされている。

 1年前、両者はフアン・ソトをMLB史上最高額となる7億6500万ドルで獲得し、一躍ニューヨークの英雄となった。しかし2025年シーズンは、6月中旬までメジャー最高勝率を誇りながら後半戦で失速。83勝79敗でプレーオフを逃し、スターンズはトレード期限での判断ミスを認め、コーエンもSNSで謝罪する異例の展開となった。

 2人が見据えているのは、メッツをドジャース以上のチームへと押し上げるための再構築だ。スターンズは、ミルウォーキーでスモールマーケット球団のブリュワーズを常勝球団へと育て上げた実績を持つ。守備と走塁の重視、30代選手への長期契約回避、若手に出場機会を与える柔軟なチーム構成──その哲学は明確で一貫している。

 ニューヨーク出身で、子どものころはメッツファンだったが、編成に情を挟むことはない。象徴的なのが、11年ドラフト1巡目で入団した生え抜き外野手ニモの放出だ。スターンズはマーカス・セミエンとのトレードを断行。二塁手として2度のゴールドグラブ賞に輝いたセミエンについて、「多様な方法で勝利に貢献できる選手」と説明した。

「まず認識すべきは、守備が攻撃と同じくらい重要だということ。攻撃は視覚的にも数字でも分かりやすいが、守備や失点防止の価値は見えにくい。そのため攻撃に力を注ぎ、守備を軽視してしまいがちだ。失点防止を改善したい」と語った。

 同じく16年ドラフト2巡目で入団した生え抜きの本塁打王アロンソとも再契約せず、代わりに内野手ホルヘ・ポランコを獲得した。通算264本塁打のアロンソと154本塁打のポランコでは、パワー面で明確な差がある。その分、ポランコの年平均年俸は約2000万ドルに抑えられ、オリオールズに移籍したアロンソの3100万ドルの3分の2以下にとどまる。

 ただし守備面ではポランコのほうが安定しており、毎試合出場が前提だったアロンソと違い、マッチアップに応じて若手と併用できる柔軟性もある。

 ブルペンでも層の厚さを重視した。トランペットの登場曲「Narco」で人気の守護神ディアスとは再契約で無理をせず、代わりにデビン・ウィリアムズと3年総額5100万ドル、さらにルーク・ウィーバーとも2年総額2200万ドルで合意。

 スターンズに問われるのは、真に世界一のチームをつくれるかどうかだ。ブリュワーズは強くなったが、ワールド・シリーズ制覇には届かなかった。メッツでは、コーエンオーナーの財力という後ろ盾があり、25年も年俸総額3億4000万ドルと球界屈指の支出を行った。

 批判と期待が交錯する中、スターンズは「25年のわれわれの戦いは十分ではなかったし、まったく同じメンバーで挑むことは正しい選択ではない」と明言。ロースター刷新を進めるのである。

文=奥田秀樹 写真=Getty Images
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メジャーから発信! プロフェッショナル・アイデアの考察[文=奥田秀樹]

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