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【MLB】メジャー最速のバットを持つ23歳 カミネロが「振らないこと」で手にした進化

 

23歳にして今季もメジャー屈指の打撃成績を残したカミネロ。課題の四球率を2倍にし、さらに手がつけられなくなった。今後どんな成長をし、通算成績をつくるのか楽しみだ


 今年3月、レイズのジュニオール・カミネロ三塁手について、「21歳で45本塁打の怪物は殿堂級の選手になれるのか」というコラムを書いた。当時、最大の武器として挙げたのは圧倒的なバットスピード。一方で課題も明確だった。バットを振り過ぎることだ。

 昨季は打率.264、出塁率.311、長打率.535、45本塁打。だが四球は41個しかなく、45本塁打を放ちながら四球数が本塁打数を下回った史上10人目の打者になった。強烈な打球がゴロになることも多く、31併殺打はメジャー最多。「殿堂級」へ進むには、パワー以外の部分で成長できるかが問われていた。

 半年後、カミネロは一つの答えを出した。今季は打率.276、出塁率.360、長打率.524、42本塁打、101打点。2年連続の40本塁打、100打点もすごいが、注目したいのは出塁率が5分近くも上昇したことだ。四球率は昨季の6.3%から11%台へほぼ倍増した。大きく変わったのは、振るか振らないかの判断だった。昨季は投球の半分以上に手を出していたが、今季のスイング率は44%台まで低下。ボール球を追いかける割合も大きく減った。

 今季から導入されたABS(自動ボール・ストライク判定)チャレンジ制度によって、特に上下のストライクゾーンが狭くなったが、その変化をうまく利用した打者の一人がカミネロだった。

 興味深いのは、ただ慎重になったわけではないことだ。振る回数を減らしながら、平均バットスピードは79.5マイルでメジャートップ。75マイル以上の速いスイングの割合も84.9%で2位だった。自分が打つと決めた球には、以前にも増して猛烈にバットを振った。そのパワフルな打撃には、ドミニカ共和国の大先輩、アルバート・プホルスの教えもある。ドミニカのウインターリーグやWBCで指導を受け、「投球の軌道に対してレベルに入る」ことを学んだ。今季のカミネロはフラットな軌道で高めの速球をとらえながら、低めの変化球にも対応する。その広い対応力を支えているのが、メジャー最速のバットスピードだ。

 もちろん、完成された打者ではない。フラットなスイングにはゴロが増えるリスクがあり、強烈な打球をいかに空中へ運ぶかは今後も課題になる。ただ、昨季までの「届く球なら何でも打つ」打者から、「自分が最も強く打てる球を待つ」打者へ変わったことは大きい。

 そして今、その成長が10月の大舞台で試されている。レイズは地区シリーズでヤンキースに2連勝し、リーグ優勝決定シリーズ進出に王手をかけた。三番を打つカミネロは、第1戦では2四球を選び、第2戦では2安打1得点。まだ豪快な一発は出ていないが、それでもチームは投手力と守備力を武器に勝ち続けている。

 カミネロは現地時間9月11日のアストロズ戦でサヨナラ本塁打を放ち、レイズをポストシーズン進出へ導いた。一振りで試合の空気を変えられる打者である。3月のコラムで「殿堂級になれるのか」と問うた。もちろん、その答えを出すにはまだ早い。それでも、45本塁打を放った昨季以上に、42本塁打を記録し、出塁率を大きく向上させた今季のほうが、その可能性を感じさせた。「振らないこと」を覚えた23歳の若武者。今後のポストシーズンで最も楽しみな選手の一人である。

文=奥田秀樹 写真=Getty Images
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メジャーから発信! プロフェッショナル・アイデアの考察[文=奥田秀樹]

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