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【MLB】レッドソックスの構想から外れた好打者吉田正尚 WBCが切り開く次の道

 

2大会連続でWBC日本代表に選出されたレッドソックスの吉田正尚。前回大会の活躍でボストンのファンを魅了しただけに、今大会でも輝きを見せられるか。注目が集まる


 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)での活躍を強く期待したい選手の一人が、レッドソックスの吉田正尚だ。32歳の吉田は、日本からMLBに移籍する際に同球団と結んだ5年契約のうち、残り2年総額3600万ドルを残している。しかし、現時点でチームの来季構想に明確に組み込まれているとは言い難い。

 長年トレードの噂が絶えなかった外野手ジャレン・デュランとウィルヤー・アブレイユは結局残留し、彼らに加えてセダン・ラファエラ、ロマン・アンソニーを含めた4人が外野の主力として日常的に起用される見込みだ。

 ラファエラは内野も守れるが、球界屈指の中堅守備力を誇る選手であり、内野起用はむしろ持ち味を削ぐことになる。その結果、外野両翼はデュラン、アブレイユ、アンソニーで回し、外野に入らない選手をDHで使うというのがチームの基本構想となっている。

 限られたベンチのメンバーに入るのも厳しい。まず控え捕手のコナー・ウォンが1枠を占め、ユーティリティ内野手として獲得したアイザイア・カイナーファレファがもう1枠を埋める。昨季ユーティリティで活躍した右打者ロマン・ゴンザレスは肩を痛め開幕には間に合わないと見られている。その代役はアンドル・モナステリオのような右打者だろう。そうなると、残るベンチ枠はわずか1つ。右打ちか、あるいは左打ちでもより守備の融通が利く選手が優先される可能性が高い。

 もっとも、吉田がメジャー・リーガーとして価値のない選手かといえば、決してそうではない。過去3シーズンで303試合に出場し、打率.282、OPS.762(OPS+109)を記録。ルーキーイヤーにはwRC+111、2024年には+116と着実に数字を伸ばした。

 25年はシーズンの大半を負傷者リストで過ごしたこともあり、出場は55試合にとどまった。成績もwRC+88と落ち込んだが、それでもシーズン終盤の20試合では打率.333、OPS.837と調子を上げた。出場機会さえきちんと与えれば結果は残せる。

 吉田自身も、スポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」のレッドソックス担当記者に対し、「3年が経った今、正直に言うと、この3年間は自分が思い描いていたものではありませんでした」と胸中を明かしている。好条件の契約を結んだ1年後に編成本部長が交代し、チーム方針が揺れ動いたことも影響した。

 それでも吉田は、「とにかく、しっかり結果を出すこと、良いプレーをすること、全力でプレーすることだけを考えています。どんなことにも前向きに向き合います」と語り、与えられた立場で最善を尽くす姿勢を崩していない。

 これまでも吉田の名前はたびたびトレードの噂に挙がってきた。高いコンタクト能力を持つ打者であり、三振の多さに悩むチームや、コンタクト重視の打線を志向する球団にとっては魅力的な存在だ。守備面に課題はあるものの、他球団であれば、より大きな役割を与えられる可能性は十分にある。

 ただし、残り2年・総額3600万ドルという契約が大きな障壁なのも事実だ。だからこそ、WBCの大舞台で打ちまくってほしい。ヒノキ舞台であらためて吉田の打撃力を示し、そのバットを本当に必要とするチームへの道を切り開いてほしい。そう願わずにはいられない。

文=奥田秀樹 写真=Getty Images
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メジャーから発信! プロフェッショナル・アイデアの考察[文=奥田秀樹]

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