週刊ベースボールONLINE

MLB最新事情

【MLB】三振ゼロでも勝てる投手へ ドジャース25歳左腕ロブレスキーが学んだカーショウの流儀

 

ドジャースの先発の一角として活躍しているロブレスキー。データ主導の現代で三振を奪えない投手の評価が下がる中、打たせて取る投球スタイルで結果を残している


 ドジャースの先発陣で、左腕ジャスティン・ロブレスキーが静かに存在感を高めている。現地時間5月14日現在、7試合に登板し、5勝1敗、防御率2.42。開幕時は先発ローテーション最後の枠を争う立場だったが、勝ったり負けたりを繰り返すドジャースにあって、いまや彼が投げる試合は勝利への期待が高い。

 3日のカージナルス戦では、6回を無失点に抑え、チームの4連敗を止めた。ところが試合後の会見では、彼の能力に疑問符をつける質問も出た。その試合でロブレスキーが三振を1つも奪っていなかったからだ。三振なしで6回無失点を記録したドジャース投手は過去25年で初めてだった。

 データ主導の現代MLBでは、三振を奪えない投手への評価はどうしても低くなりがちだ。打たせて取る投球スタイルは、好成績が長続きしにくいと見られている。だが、聡明なロブレスキーは「自分はアウトを取るためにマウンドに上がる。どんな形でアウトを取ってもそれでいいんです」と答えた。デーブ・ロバーツ監督も、その価値をはっきり認めている。

「彼が先発するたびに、この試合は勝てるという感覚を持てる。それが一番大事なこと」

 ロブレスキーの投球の軸は、全投球の51.4%を占めるフォーシームである。そこに33.1%のスライダー、6.6%のカーブを組み合わせる。いずれの球種も被打率は1割台。派手な奪三振ショーではないが、打者に芯でとらえさせず、確実にアウトを積み重ねる。

 昨季は主にリリーフとして起用され、先発はわずか2試合。66回2/3を投げ、防御率4.32、5勝5敗2セーブという成績だった。そこから今季、先発投手として大きく成長した背景にロブレスキーは引退したクレイトン・カーショウの存在を挙げる。

 ここ2年間、ロブレスキーはカーショウとチームメートとして過ごし、多くを学んだ。「彼の日々のルーティンを見ることは、自分にとって特別なことでした」。同じ左腕で、球種構成にも重なる部分がある。持っている球をどう組み立て、打者のタイミングを外すのかを学んだ。

「クレイトンはただマウンドに上がって、自分の球で打者を押し込んでいた。だまそうとしたり、特別に変わったことをしたりしていたわけではありません。それを何度も何度も繰り返し、その技術を極めていったんです」

 カーショウは昨夏、MLB史上20人目となる通算3000奪三振を達成した。言うまでもなく、三振を奪う能力に優れた投手だった。しかし、ロブレスキーが間近で見た晩年のカーショウは、より打たせて取る形へと適応していくベテランの姿でもあった。

 ロブレスキーは大谷翔平にも助言を求めたという。「彼は同じ球種でも球速を変えますよね。速い球も投げるし、遅い球も投げる。そうする具体的な理由があるのか、何か意識していることがあるのかを知りたかったんです」。返ってきた答えは、いかにも大谷らしいものだった。「彼は『試合を読んで、それに応じて投げるんだ』という感じでした。彼の頭の中をのぞけるのは楽しいこと。今の野球界で最高の投手の一人ですから」

 スター軍団のドジャースには、実績ある投手だけでなく、将来を嘱望される若手投手も数多くいる。その中で、21年ドラフト11巡目指名の左腕であるロブレスキーは着実に実績を積み上げているのだ。

文=奥田秀樹 写真=Getty Images
MLB最新事情

MLB最新事情

メジャーから発信! プロフェッショナル・アイデアの考察[文=奥田秀樹]

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング