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【MLB】労使交渉が本格スタート サラリーキャップ導入を巡る機構側と選手会の攻防

 

労使交渉が本格的にスタートした。前回の労使交渉は、直前までまったく決まらず、開幕が危ぶまれた。今回の交渉はどのような形で収まるのだろうか[写真はロブ・マンフレッドMLBコミッショナー]


 MLBの新たな労使交渉が始まった。最大の争点は、機構側が提案したサラリーキャップ制度である。リーグ案は、選手とオーナーが野球収益を50対50で分配することを前提に、2027年から球団総年俸の下限を1億7120万ドル、上限を2億4530万ドルに設定する内容だ。

 一部の低予算球団には支出増を義務付ける。背景にあるのは、近年のドジャースの圧倒的な資金力だ。ロブ・マンフレッドMLBコミッショナーは「競争の公平性向上」を目的として掲げている。これに対し、選手会は真っ向から反発している。選手会のブルース・マイヤー暫定事務局長は、ドラフト指名選手や国際FA選手への契約金まで選手側の取り分として計算するリーグ案では、サラリーキャップ導入後に選手全体の報酬が減少すると主張する。

「MLB自身が定義した収益と選手取り分の計算方法を使った場合でも、選手の取り分は減少します」とマイヤー氏は述べた。「26年の選手取り分は、MLBの定義でも50%を大きく上回る見込みです。もし今回の提案が26年に適用されていたら、選手たちは推定で5億ドルを失っていたでしょう」。

 一方、リーグ側は反論する。新制度では現在12球団が合計6億1700万ドルの年俸増額を迫られ、8球団が合計5億7800万ドルの削減を求められる。結果としてメジャー・リーガーの給与総額は増加すると説明。

 リーグは競争バランスが崩れていることを示すために自分たちに都合のよい統計を選び、選手会は崩れていないことを示すために自分たちに都合のよい統計を選ぶ。交渉初期段階では双方が最大限の要求を掲げるのは当然であり、この応酬は今後数カ月続くだろう。

 21〜22年のロックアウト前も同じだった。ただ今回は、MLBが1994〜95年のストライキ以来、初めて本格的なサラリーキャップ導入を目指しているだけに、対立はさらに激しくなる可能性が高い。マイヤー氏は「サラリーキャップは制度化された談合の一形態だ」と強く批判する。「特定の選手を獲得してチームを強化したい球団(ドジャースのようなチーム)に対し、『それはできない』という制度だ」。さらに、オーナー側の真の狙いは彼らの利益拡大にあると指摘した。

「人気も成長も関心も爆発的に高まっている今、オーナーたちの目標はより多くのお金を自分たちの懐に入れることです。もちろん、それ自体を責めるつもりはありません。しかし実態はそうで、労働コストを抑えて利益を増やすか、球団価値を高めるか、そのどちらかを目指しています」

 もっとも、この問題で最も懸念すべきなのはサラリーキャップそのものではないかもしれない。フィリーズの主砲ブライス・ハーパーは、長期化する労使対立が野球界の成長に水を差すことを警告している。近年のMLBは観客動員、テレビ視聴率ともに好調で、大谷翔平の存在もあって国際的人気はかつてないほど高まっている。その流れの中でロックアウトや試合中止が起きれば、野球界全体にとって大きな損失になる。労使双方にはそれぞれ言い分がある。

 しかしファンが望んでいるのは、交渉の勝者や敗者ではない。最高の選手たちが最高の舞台でプレーする姿である。おそらく大谷も、ハーパーと同じ気持ちではないだろうか。

文=奥田秀樹 写真=Getty Images
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メジャーから発信! プロフェッショナル・アイデアの考察[文=奥田秀樹]

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