
若き豪腕であるブリュワーズのジェイコブ・ミジオロウスキー。メジャー2年目の今季も100マイルを超える真っすぐを中心としたピッチングで打者を制圧している。才能ある若き右腕をどう守っていくのか、ブリュワーズの起用法に注目だ
現地時間7月26日、ブリュワーズのジェイコブ・ミジオロウスキーは、ロッキーズを相手に、これまで見たことがないような投球を披露した。最初に対戦した9人のうち8人を三振に仕留め、そのうち3つは104マイルを超える直球で奪った。初回、
ハンター・グッドマンを104.3マイルで空振り三振。2回にはカイル・カロスを104.5マイルで見逃し三振、さらに
コール・キャリッグを104.1マイルで空振り三振に仕留めた。103マイル以上の直球で奪った三振は、実に8個に上った。
この日の全83球のうち66球が直球で、すべて100マイル以上。唯一の失点も、とてつもなく速い球だった。5回、キャリッグにソロ本塁打を浴びたが、その球は101.9マイルで、しかもストライクゾーンの外。5回を投げ、被安打1、1失点、無四球、12奪三振だった。
今季のミジオロウスキーは、ひょっとすると史上屈指の投手パフォーマンスを見せているのかもしれない。201cmの長身から投げ込む直球は100マイルを当たり前のように超え、105マイル台を記録することもある。救援投手なら100マイルを超える投手は珍しくなくなったが、それを先発として何度も繰り返す投手となれば別格だ。
しかも長い手足を生かし、打者に近い位置でボールをリリースするため、数字以上の速さを感じさせる。空振りを奪う能力もすさまじい。空振り率38.5%は先発投手でメジャートップ。三振率も40.6%に達している。対戦した打者の約4割を三振に仕留めている計算で、その支配力は群を抜いている。
さらに注目すべきなのは、バットに当てられた後だ。平均打球速度87マイル、ハードヒット率34.2%、バレル率3.0%と、スタットキャストの打球指標も優秀。打者はコンタクトするだけでなく、芯でとらえることにも苦労している。
ここにミジオロウスキーの特殊性がある。典型的な剛腕投手なら「三振は多いが、四球も多く、当たれば飛ぶ」という弱点が出やすい。しかし現在の彼は、大量の三振を奪いながら、強い打球も抑えている。マイナー時代から課題だった制球も改善され、今季の四球率は6.1%。規格外の素材が、先発投手としての圧倒的な結果につなげている。
球種構成も興味深い。100マイル超の直球を軸に、96マイル前後のカッターを織り交ぜ、カーブやスライダーでも空振りを奪う。打者にとって難しいのは、100マイルにタイミングを合わせれば済むわけではないこと。同じような腕の振りから速度も軌道も異なる球が来る。一方、その圧倒的な能力ゆえに、新たな課題も生まれている。ブリュワーズは後半戦、登板間隔や投球回などを管理する方針を示している。
100マイル以上の球をこれほど大量に投げ続ける先発投手は歴史的にも前例が少なく、従来の「何イニング投げたか」という尺度だけでは、身体への負荷を測り切れないからだ。現時点では、球速が急落するなど、データ上で明確な異変が表れているわけではないが、首脳陣の最大の目標は、ミジオロウスキーを10月に最高の状態でマウンドに送ること。
歴史的とも言える球威をどこまで維持できるのか。そして、その規格外の右腕をどう守りながら使うのか。後半戦は、投球内容だけでなく、ブリュワーズの起用法にも注目が集まる。
文=奥田秀樹 写真=Getty Images