
2年連続サイ・ヤング賞を受賞している現役最強の左腕であるスクーバルがドジャースへ加入。ワールド・シリーズ3連覇を目指すチームにとって大きな戦力となるはずだ
デトロイト・タイガースからドジャースへ移籍したタリック・スクーバルが、現地時間8月4日にリグレー・フィールドで新天地デビューを果たした。結果は6回4安打2失点。打線の援護がなく敗戦投手となったものの、平均97.3マイルの速球で打者を圧倒し、得意のチェンジアップでも空振りを量産した。試合には敗れたが、ドジャースのワールド・シリーズ3連覇への期待がさらに高まったことは間違いない。
興味深かったのは、登板前日に行われた入団会見だ。スクーバルは、「ドジャースは圧倒的な資金力で野球を壊している」という批判に対し、「どの球団にも自分を獲得するチャンスはあった。ドジャースだけを責める理由はない」と反論した。確かに今回のトレードは資金力ではなく、ドジャースがザイアー・ホープ、
リバー・ライアン、ブレイディ・
スミスという有望株を放出できるだけの層の厚いファームシステムを築いていたことが成立の決め手だった。スクーバルも「ドラフト、育成、補強、そして才能ある選手を引き留めることまで、すべてをうまくやっている勝つ組織だ」と球団を高く評価した。
さらに、「私は以前から、この球団のやり方を尊敬していました。過去2年連続でワールド・シリーズを制した姿をテレビで見ながら、『自分もあそこに行きたい』という気持ちが強くなっていました。シーズン最後の試合に勝って終わる。それが私の目標です。今年、その実現に挑戦できることを楽しみにしています」と、新天地への思いも口にした。
2年連続サイ・ヤング賞に輝いた球界屈指の左腕だが、ドジャースでは「学ぶ立場」を強調した。
「自分が“大きなピース”だとは思っていません。このチームはすでに十分強い。私はカメレオンのようにクラブハウスに自然に溶け込みたい。このチームは勝つためのレシピを知っています。一方、私はまだワールド・シリーズを制したことがありません。だから周りのみんなを見て学びたい。『あいつ、ずっと見ているな』と思われるかもしれませんが(笑)」
中でも、
山本由伸とともにプレーできることを心待ちにしていた。昨年のポストシーズンで山本が連投も辞さずチームを支え2連覇に大きく貢献した姿は、「私が野球場で見た中でも最も印象的なことの一つだった」と振り返る。
「山本は非常に細かいルーティンを持っていると聞いています。槍投げトレーニングをすぐ取り入れるかは分かりませんが、オフには試してみるかもしれません(笑)。ウエート・トレーニングも独特だと聞いているので、それも見てみたい。自分に合うものがあれば取り入れたいです」と笑顔で語った。
スクーバルは今オフにFA資格を取得するため、ドジャースではいわゆる「レンタル移籍」の立場となる。それでも、大舞台で結果を求められるプレッシャーを歓迎する。
「プレッシャーは特権だと思っています。期待されることは名誉です。ファンが期待してくれることも、チームメートが自分なら勝たせてくれると信じてくれることも、本当にありがたい。そのプレッシャーこそが私を成長させ、最高を目指す原動力になります。私はプレッシャーから逃げたくありません」
ドジャースが3連覇を成し遂げるために、山本とスクーバルという2人のエースが、その両輪となる。
文=奥田秀樹 写真=Getty Images