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【MLB】ドジャース・ラウアーを「負けない男」にしたアジアの野球で学んだ投球術

 

負けない男、エリック・ラウアー。ドラフト1巡目のエリート左腕は、2024年の韓国での1年間で身に付けた打者に合わせた投球術が今季の好成績につながっている


 ドジャースに「負けない男」がいる。左腕エリック・ラウアー。移籍後、12試合に登板して11試合に先発。7勝1敗を挙げ、チームもその先発試合で11勝1敗という驚異的な勝率を残している。

 現地時間8月18日のロッキーズ戦でも、標高約1600メートルの打者有利なクアーズ・フィールドで粘り強く試合をつくった。高地では空気抵抗が小さく、変化球の曲がり方が普段とは異なる。

「ここでは変化球の感覚をつかむのが難しい。投げるたびにどう動くか分からないようなところがある。特にカーブとスライダーは、安定した軌道を見つけられなかった」と振り返った。

 それでも大崩れしないのが、この左腕の強みだ。先発試合でチームが11勝1敗と聞かれると、「“銀の弾丸”があるからね。打線のみんなにお金を払って、点を取ってもらっているんだ」と、クアーズのビールに引っかけて笑わせた。もちろん、運や援護点だけではない。

「僕が登板するたびに、チームへ勝つチャンスを与えられているということ。少しは自分を褒めてもいいと思う。ここへ来てから、チームが勝負できる展開を保ち、良い投球ができている」

 打線の援護と堅い守備への感謝を繰り返しながらも、先発としての自負をのぞかせた。

 元はパドレスのドラフト1巡目指名選手。パドレスとブリュワーズでは通算36勝37敗と、勝ち星と負け数がほぼ並んでいた。その投手がドジャースで「負けない男」へ変貌した背景には、2024年に韓国プロ野球で過ごした経験がある。メジャー・リーグでは「フライボール革命」を経て、打率3割を目指す野球から、一番から九番までが一振りで相手にダメージを与える野球へと変化していた。

 一方、韓国では上位打線と下位打線の役割がはっきりした、より昔ながらの攻撃に直面した。そこでラウアーは、すべての打者から同じ形のアウトを取る必要はないと気づいたという。

「本塁打を狙う打者には三振を狙い、空振りを取ろうとする。一方、コンタクト能力の高い打者には弱い打球を打たせる。そういう打者から三振を奪おうとはせず、3、4球でアウトにしたい。なかなか空振りせず、ファウルで粘る打者には、まったく違う考え方で投げる必要がある」

 もちろん、メジャーでは下位打線にも一発がある。それでも各打者が、すべての打席で本塁打だけを狙っているわけではない。「その打席で相手が何をしようとしているのかを見て、自分の投球を変える。逆に、自分の投げ方によって相手のアプローチを変えさせることもできる」と説明する。

 韓国で触れた野球は、一人の野球ファンとしても新鮮だった。

「僕たちが子どものころからやってきた昔ながらの野球が、あれだけ高いレベルでも残っているのは面白かった。そのスタイルでも勝てるし、実際に機能する。メジャーは選手のレベルが別次元だけれど、昔ながらの野球が今もゲームの中に残っているのを見るのは楽しい」

 アジアで投球へのアプローチを一から見直した経験が、現在の安定感につながったのかと聞くと、「間違いなく、そうです」と言う。遠回りにも見えた韓国での1シーズンが、元ドラフト1巡目左腕を再生させたのである。

文=奥田秀樹 写真=Getty Images
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メジャーから発信! プロフェッショナル・アイデアの考察[文=奥田秀樹]

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