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【MLB】内野シフト禁止の次は外野守備に制限? MLBが新ルール実験

 

内野守備だけでなく、外野守備にも制限を掛けようとしているMLB。観ている人にとって楽しい野球を目指すことは、どこまで求めていくのだろうか


 ホームランか三振か。今年のポストシーズンでも、そんな極端な野球が目立つ。豪快な本塁打はもちろん魅力的だ。しかし、外野の間を抜ける打球、次の塁を狙う走者の激走、外野手の追走と送球、そしてベンチの采配。野球にはもっと多彩な面白さがある。そんな野球を取り戻そうとしているのか、MLBがアリゾナ・フォールリーグ(AFL)で、外野手の守備位置を制限する新たな実験を始めた。

 現地時間10月6日、アメリカ野球分析サイト「ファングラフス」が報じたところによると、両翼の外野手が通常より浅く、ファウルラインに近い位置で守っていたという。しかも、打者や試合状況にかかわらず、両チームが同じような配置を取っていた。狙いは左中間、右中間に広い空間をつくり、安打、とりわけ二塁打や三塁打を増やすことにある。

 背景には、近年のMLBで二塁打や三塁打が減少している現実がある。2026年のメジャーでは、1球団1試合平均の二塁打が1.54本と21世紀で最低の水準。三塁打も0.14本と極めて少なかった。

 大きな要因の一つが外野守備の進化である。スタットキャストによる打球データの分析が進み、各球団は打者ごとに最適な守備位置を割り出す。外野手の身体能力も向上し、かつてなら長打になっていた打球が捕球されるようになった。中堅手の平均守備位置は、16年からの10年間で約2.4メートルも深くなったという。ならば、外野手を浅く守らせればどうなるか。平凡なフライは捕られやすくなる一方、外野手の頭を越える強い打球は長打になりやすい。走者の積極的な進塁や、それを阻止する守備も増えるかもしれない。実験の発想は理解できる。

 ただし、気になる前例がある。23年に導入された内野シフトの制限だ。極端な守備配置を禁止すれば、ゴロの安打が増え、打者のアプローチも変わると期待された。しかし、その効果は限定的だった。同年こそメジャー全体の打率は.248と前年から5厘上昇したものの、24年以降は.243、.245、.244と推移している。

 理由の一つは、フライボール革命によって定着した打者のアプローチが、ほとんど変わらなかったことだ。現在の打者は、守備の隙間を狙うよりも、強い打球を上げることを重視している。三塁側が空いているからといって、95マイルを超える速球を自在に逆方向へ運べるわけでもない。打者は単打を狙う方向には転じず、引き続き長打を追求した。

 そう考えると、今回の外野守備制限についても、その効果には疑問が残る。内野シフト禁止が示したように、守備位置を変えることと、打者の考え方を変えることは別問題だからだ。

 ちなみに、メジャーで1球団1試合平均の本塁打数が初めて1本を超えたのは1987年だった。次に超えたのは94年で、そこから2009年まで16年連続で1本を上回った。ところが、10年から14年までの5年間では、1本を超えたのはわずか1度。それが15年以降は12年連続で1本を超え、特に19年には史上最多の1.39本を記録した。

 打者が本塁打を重視する傾向は、もはや現代野球の基本的な戦略となっている。外野に広い空間が生まれたとき、実際に打者はそこを狙うようになるのか。MLBが始めた新たな実験は、果たして打者のアプローチを変えることができるのだろうか。

文=奥田秀樹 写真=Getty Images
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メジャーから発信! プロフェッショナル・アイデアの考察[文=奥田秀樹]

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