昨季、リーグトップのチーム防御率2.75を誇ったライオンズ投手陣に今季は地殻変動が起きている。最優秀中継ぎのタイトルに輝いた平良海馬が先発挑戦。セットアッパーの座が空き、誰がそこに入るか注目される。その中で期待されるのが5年目右腕・森脇亮介。30歳を迎えた男がチームの要所を担えるか。
取材・構成=上岡真里江　写真=桜井ひとし

球種が増える可能性も

　昨年末、トークイベントに参加した森脇亮介は、壇上で自身にとっての2022年を表す漢字一文字を聞かれ、『信』を選んだ。

「シーズンの後半から、ランナーがいる場面での起用が多くて。それまでは、回頭からの登板がほとんどだったので、ただ自分が良いボールを投げることを意識していたのですが、いきなりピンチの場面でマウンドに立つとなると、それだけでは抑えるのが難しい。そんな厳しい場面でも、信頼して送り出してもらえてありがたかったですし、信頼を勝ち取っていくためには、捕手の配球やバック(野手)の守備を信じて投げるということがいかに重要かをあらためて思い知った1年でした」と、その理由を語った。

　信用される喜び、そして信じられる仲間がいることへの感謝を胸に、さらなる高みを目指していく。

──昨季は防御率が1.72。一昨年の4.02から大幅に下がりました。その要因は？

森脇　一昨年、オープン戦を前に肩を痛めたときに痛いまま投げている期間があって。21年はその投げ方を、特に前半戦は引きずっていたかなと思っていて。で、五輪期間が明けてからは、だいぶマシにはなったのですが、それでもまだ引きずっていた部分もあって。本当に一昨年は自分でも「うーん……」と思いながら投げていました。それが去年やっと断ち切れて、本来の自分の形に近づいて投げられたんじゃないかなと思います。

──もう一つ、青木勇人投手コーチは森脇投手の“準備”という部分も称賛していて、「試合展開もしっかり見てくれていて、僕が気付くより前に『ちょっと早めですが、(肩を)つくり始めましょうか？』と言ってくれたり。そうした状況を把握しながらの万全な準備が、走者がいても落ち着いて投げられた要因ではないか」と言っていました。

森脇　それはあると思います。もちろん、以前もそれなりに準備はしていましたが、去年青木コーチがキャンプ時から何度も何度も繰り返し準備の大切さを言い続けてくださったことで、これまで以上に体も心もしっかりと準備するようにはなったかなとは思います。特に昨季の後半は走者のいる場面で出て行くことが多かったのですが、回の頭から行くときは、試合を見ながら、「あ、1アウト。あ、2アウト。はい3アウト、よしいこう！」みたいな感じで行けたのですが、途中から行くときは、「じゃあ次の打者から行くぞ」と言われても、代打が出たり申告敬遠があったりでズレたり、時にはゲッツーでチェンジになって・・・