
1試合最多記録の16与四球ながら3失点完投勝利を挙げた野茂は「もちろん納得はしていません」とコメントした
三振を奪いながらも平然と四球を与える
投手が四球を連発したとする。守る側のファンはピンチが広がり不安になるが、後続を抑えればホッと胸をなで下ろす。攻撃側のファンはタダでもらったチャンスにほくそ笑むも、結局は走者が生還しなければ悔しがる。それもプロ野球観戦の醍醐味と言えようか。であるならば、この日
西武球場に詰め掛けた1万4000人の観客は、その味をこれ以上ないほど堪能したことになる。1994年7月1日、西武対近鉄の12回戦。近鉄の先発はエース・
野茂英雄である。結論から書こう。野茂はこの試合でプロ野球記録となる四球を西武打線に与えた。
90年の入団以来、93年まで4年連続で最多勝と最多奪三振を記録。野茂が当時リーグNo.1の投手だったことは疑うべくもない。独特のトルネード投法から繰り出されるストレートはズシンと重く迫力があり、鋭く落ちるフォークボールにパ・リーグの強打者たちのバットは空を切った。
だが、同時に野茂は制球難を抱えた投手でもあった。与四球も4年連続でリーグ最多を記録。特に93年の与四球148は、53年以降ではプロ野球史上最多である。つまり野茂は三振を奪いながらも平然と四球を与え、しかし結果として相手打線を封じ込める投手であった。
そのような投球を可能にしたのが・・・
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