
広島市民球場の広島対中日戦はカープの初優勝目前ということもあってかファンが興奮し、グラウンドになだれ込んだ
カープ初優勝目前の「史上最大の騒動」
まだ「職業野球」と呼ばれていた戦前からプロ野球を取材し、野球殿堂入りの候補者にもなった評論家の
大和球士をして「プロ野球史上最大の騒動」と言わしめた事件が起きたのは、1975年9月10日のことであった。
この年、広島は予想を超える快進撃を続けていた。50年の誕生以来、Aクラス入りはたった一度というチームがシーズン終盤まで優勝を争っていたのである。この年監督に就任し、選手たちの意識改革に努めた闘将・ルーツが4月末に辞任するというアクシデントはあったが、後任の
古葉竹識はその精神を引き継ぎ発展させた。「投」では
外木場義郎、
池谷公二郎、
佐伯和司の先発三本柱が確立され、「打」では
山本浩二、
衣笠祥雄、
ホプキンスが快打を連発。燃える軍団は「赤ヘル旋風」を巻き起こした。その「熱さ」は、長年に渡(わた)り弱小と呼ばれる屈辱を味わってきた広島のファンにも伝播した。しかしそれこそが「史上最大の騒動」を引き起こす要因ともなったのである。
その日、広島市民球場では・・・
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