
1975年、パ・リーグのベストナインの初代DHに選ばれた阪急・長池徳二は「守っていてこそ試合に参加している意識が生まれる」とDHに否定的だった
世界的にも9人野球はセ・リーグだけ
2019年10月24日。
巨人が
ソフトバンクとの日本シリーズに敗れた翌日、
原辰徳監督(当時)から飛び出た発言に注目が集まった。
「セ・リーグもDH(指名打者)制を導入すべきだろうね。相当、差を付けられている感じがあるし、取り入れれば全体的にレベルも高くなってくると思う」
もともと原はDH制導入論者であり、従来の主張を繰り返したに過ぎなかったが、この発言には賛否両論が巻き起こった。そもそもプロ野球関係者には(ファンも含めて)DH制に否定的な人間が多い。「野球は本来9人で行うものであり、投手も打席に立つべきである」「投手に代打を出す戦術の醍醐味が失われる」などの反対論は根強い。
それらの意見には、なるほど確かにと思わせる説得力がある。ただし、世界的に見れば今やほとんどのプロ野球リーグがDH制を導入しているのは厳然たる事実だ。大リーグではア・リーグが1973年からDH制を取り入れていたが、ナ・リーグも2022年から正式採用に踏み切った。台湾や韓国のプロ野球も同様にDH制がある。だからセ・リーグも右にならえというのはいささか乱暴だが、今後とも導入に関する議論は続くことになるだろう。
一方、パ・リーグがア・リーグにならってDH制を導入したのは1975年のシーズンからである。その最大の目的は「観客動員増」であった。当時セに対して人気の面で大きく差を付けられていたパは、73年にシーズン前後期制を取り入れるなど改革を行う土壌が整っていた。DH制は必然的に打撃戦を増やし試合展開が面白くなる。また・・・
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