
くふうハヤテ・大石航[©HAYATE]
「大石は今シーズンの投手陣の中でも特に要チェックですよ」──まだ春季キャンプにすら入っていないタイミングだったが、球団関係者や首脳陣へ今季の展望を取材していた際によく耳にした。地元は静岡県の中部に位置する吉田町。藤枝明誠高に進学すると、高校2年の秋にはエースとして同校初となる静岡県大会優勝に貢献した。続く東海大会は準決勝で
高橋宏斗(現・
中日)を擁する中京大中京高に敗れ、センバツ出場とはならなかったが、チームの快進撃は大きな注目を集めた。大学は地元を離れ福岡県にある日本経済大に進み経験を積むと、昨秋のトライアウトを経てくふうハヤテに入団が決まり、再び静岡に帰ってきた。
大石の持ち味は緩急をつけて打たせて取るリズムの良い投球だ。直球の最速は143キロながら、得意球とするカーブは90〜100キロ台と実に40キロ前後の球速差となる。ウエスタン初勝利をあげた4月5日の
ソフトバンク戦(ちゅ〜る)では、6回を75球で1失点にまとめる好投を見せた。NPBの選手を相手に一歩も引かない投球で先発の柱を担う左腕だが、秘訣は試合前のブルペンにあるという。普段から打席にバッターを立たせて、直球・変化球ともにゾーンに投げ込む。「常に試合を想定して投げるので、逆に試合では普段のブルペンどおりに投げるだけ」という意識で、与四死球も少なくテンポの良いマウンドさばきが可能となった。
くしくも初勝利の翌日に23歳の誕生日を迎えた大石。目標は今オフのドラフト指名だ。「登板する試合すべてがアピールの場となる。自分の良さを全力で出していきたい」と意気込んでいる。昨オフ、くふうハヤテからは
早川太貴が
阪神から育成指名されたが、担当スカウトからは阪神戦で6試合に登板し、防御率0点台の好投を続けたことが好印象だったことも明かされた。『早川に続け』と意気込むチームにおいて、地元出身左腕にはぜひとも先頭に立って次なる舞台へ羽ばたいてほしい。
PROFILE おおいし・わたる●2002年4月6日生まれ。静岡県出身。183cm84kg。左投左打。藤枝明誠高から日本経済大に進学。昨秋のトライアウトを経て今季からくふうハヤテに入団した。トライアウトのブルペン投球では球威と制球力を評価されて、規定の投球数の前に審査の突破を言い渡された。
<TOPICS>自軍を相手に勝ち投手!?

くふうハヤテ・山田龍聖[©HAYATE]
4月16日に本拠地・ちゅ〜るスタジアム清水で行われた対
巨人の2戦目では、6月30日までの期限付きでくふうハヤテに派遣されている巨人の育成選手・山田龍聖が先発のマウンドに上がった。山田は本来のチームメイトを相手に7回を投げて7つの三振を奪い、僅か1失点の好投で今季初勝利をあげた。
チーム合流直後には「二軍の舞台でしっかり投げられるのは間違いなくチャンス、行きたい気持ちは強かった」と語り、派遣を前向きに捉えていた左腕。4月24日時点で6試合(うち5試合で先発)に登板し、防御率1.29はウエスタン・リーグで2位という安定感を見せている。昨季、巨人から派遣され先発の柱を担った
木下幹也に続き、山田龍聖の名を静岡から轟かす。
文=松下晴輝[静岡放送(SBS)アナウンサー]