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スージー鈴木の球さわぎの腰つき

スージー鈴木コラム 第24回「球界再編問題以降、球界を救ったのは『中継革命』だった」

 

BS・CS・ネットにおけるパ・リーグ中継がなかったら、日本球界は今ごろどうなっていたのだろう


 ちょうど20年前の今日(発売日)と明日=2004年の9月18日・19日は、日本プロ野球初のストライキが行われた日だった。

 心ある野球ファンは、20年前の球界再編問題のとき、最終的に2リーグ制が堅持されたこと、逆に近鉄球団が失われたことに思いを馳せて、ささやかに乾杯、そして献杯をしてもいいのではないか。

 山室寛之『2004年のプロ野球球界再編20年目の真実』(新潮社)という本を読んだ。あのとき球界上層部で何が起きていたか、我々が知り得ていたのは、ごく一部だったということを思い知らされる一冊だ。

 痛感するのは、地上波の巨人戦中継(からの放映権収入)が、いかに大きい存在だったかということ。

 ゴールデンタイムに生中継される東京ドームの巨人戦が、まだまだ視聴率を稼いでいた時代。だからこそセ・リーグ球団は、その既得権益保持に躍起となり、巨人戦のないパ・リーグ球団は赤字で苦しんでいた。

 そんな状況下だったからこそ、全チームが巨人と試合を組める1リーグ制への動きが起きたという側面が、確かにあったのだ。

 この20年の球界の変化、特にパ・リーグの集客活性化には、各球団の地域密着への努力に加えて、BSやCS、ネットを通してのパ・リーグ中継が広がったことが大きく影響したはずである。

 パ・リーグ派の私も、20年以上にわたり、スカパー!やCATVを駆使して、パの中継を見てきた。中継のほとんどなかった昭和のころ、パ・リーグ派は一体どうしていたのだろうと不思議に思うくらい。

 逆に、巨人戦の地上波中継が激減したこともあり、結果「セ>パ、巨人(阪神)>他球団」の人気格差が少しずつ是正されていったのだ。

 テレビ草創期には「中継なんてしたら誰も球場に来なくなる」と言われたらしいが、いやいや「中継を見たからこそ球場に行きたくなる」のだ。よく考えたら、当たり前のことなのだが。

 そう、この20年に起きた球界の革命は、中継の革命だったのだ。

 だから日本の野球中継はもっと手軽になっていい。もっと簡単に、もっと格安に、もっとリアルに。

 2044年、今からまた20年後、通信インフラは格段に整備され、自宅にいながら、まるで球場で観戦しているようなVR中継が無料で見られるようになっている。

 だとしても、野球ファンは、球場に向かうだろう、そして今より快適な席に座って、ささやかな乾杯をしているだろうと、私は信じる。

PROFILE
スージー鈴木●1966年生まれ、大阪府出身の野球文化評論家、音楽評論家。『9の音粋』(BAYFM)の月曜パーソナリティ、『ザ・カセットテープ・ミュージック』(BS12)のレギュラーMCとしても出演中。近著に『弱い者らが夕暮れて、さらに弱い者たたきよる』(ブックマン社)、『サブカルサラリーマンになろう』(東京ニュース通信社)。
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スージー鈴木のスタンド視点による文系野球エッセイ

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