
選手の名鑑写真は球団公式カメラマンが撮影しますが、昔はメディア各社のカメラマンから次々に撮られました
そろそろベースボール・マガジン社をはじめとする各社から、プロ野球の選手名鑑が発売されているころだと思います。名鑑はファンの皆さんだけでなく、プロ野球の選手や現場のスタッフにとっても必需品といえる存在。実際、試合中のベンチで名鑑を開いている様子を、テレビ中継で見たことがある方もいるのではないでしょうか。
試合前、相手チームに新顔の選手がいれば、当然ミーティングである程度の情報は入ります。しかし、例えば自分が野手なら、先発投手以外のことはフッと頭から抜け落ちてしまいがち。そんなとき、ベンチに名鑑があると、ざっとした情報が瞬時に見られるので便利です。
対戦相手として必要な情報以外にも、名鑑にはさまざまな情報が詰まっています。まず、なぜか必ず見てしまうのが出身校。縦横のつながりで、あいさつに行く、行かないの問題も大きいのでしょうが、誰がどんな経緯でプロ入りしたかは、やはり気になります。
それから、年俸。もちろん掲載されるのは「推定年俸」ですし、正直合っていることも、合っていないこともあります。しかし特に若いころは、先輩たちの年俸を見て、「自分も頑張ろう」と励みにしていました。どんな成績を何年残せば、どのくらいの金額になるのか、目安を得ることもできました。
今はもうなくなりましたが、昔の名鑑でよく見ていたのが、「愛車」の項目。これも若かりしころ、各球団の主力選手がどんな車に乗っているのか、大いに興味がありました。
小遣いの金額
昔あった項目といえば、1980年代あたりまでは、選手の住所や家族の名前と年齢まで載っていたのだとか。さすがに個人情報として問題視され、なくなったようです。あとは「好きな食べ物、嫌いな食べ物」「1日に吸うタバコの本数」「お酒をどのくらい飲むか」「1カ月の小遣い」なんていう項目も、かつてはあったと聞きました。私も、「好きな食べ物」に「焼肉」と答えた記憶がうっすら残っています(笑)。
また、以前の「好きな女性のタイプ」という項目が、昨今は「好きなタレント」に変わったようですね。これも時代の流れでしょうか。
時代の流れといえば、最近の名鑑写真は、写りが本当にキレイ。選手にとっては宣材写真にも等しいものですから、ありがたいことなのではないでしょうか。余談ですが、今の私の仕事でも、「宣材写真はプロのカメラマンに、とにかくカッコよく撮ってもらったほうが、仕事につながる」と言われるほど、写真によって印象がガラリと変わります。もしかしたら、多少修正も加えているのかな? 名鑑の表紙は、12球団の“顔”が飾っています。これも、選手にとっては目標となるものです。
ちなみに今の私の名鑑の楽しみは、首脳陣の写真を見ること。コーチングスタッフの異動はあまり大きく取り上げられないことが多いので、名鑑を見て「あ、今ここにいるんだ」と確認できます。同時代に選手だった人たちの顔を見て、「変わらないな」とか「老けたな」とか懐かしく思う。選手名鑑って、実にさまざまな楽しみ方がありますね(笑)。
PROFILE 小笠原道大/おがさわら・みちひろ●1973年10月25日生まれ。千葉県出身。暁星国際高からNTT関東を経て、ドラフト3位で97年に
日本ハムに入団。02年から2年連続首位打者。06年には本塁打王と打点王の2冠を獲得し、パ・リーグMVP。FAで
巨人移籍後の07年にもセ・リーグMVPを受賞した。14年に
中日に移籍し、15年限りで引退。通算成績は1992試合、6828打数2120安打、378本塁打、1169打点、打率.310。引退後は中日、日本ハム、巨人で二軍監督、コーチなどを歴任し、2024年から評論家活動を開始した。