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球界を動かす人

日本高等学校野球連盟事務局長・井本亘 時代との調和「守るべきものは守って、変化、進化していかないといけない」

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日本高等学校野球連盟には、全国47都道府県の高校野球連盟が加盟している。日々、各連盟とコミュニケーションを取り、最善の運営を目指している。3月18日に開幕するセンバツ甲子園を前に「令和の高校野球」の進むべき方向性について聞いた。
取材・構成=岡本朋祐 写真=BBM

第97回選抜高校野球大会の第1回審判委員研修会[3月1日]が行われた明石トーカロ球場で取材に応じてくれた。センバツ大会への準備も急ピッチで進んでいる


沖縄開催の意義


 3月6日にセンバツ出場32校の主将によるキャプテントーク、翌7日には組み合わせ抽選会が行われ、1回戦16試合の組み合わせ(詳細はこちら)が決まった。13、14日に甲子園練習が行われ、17日の開会式リハーサルを経て、18日に開幕する。

――いよいよ、球春到来です。

井本 昨年は選抜大会100年、阪神甲子園球場100年と、記念の1年でした。選抜大会101年目の新たなスタート、来るべき3年後の100回大会に向けて、気持ちを込めて大会に臨みたいと考えています。出場32校の選手たちが悔いなく、思い切りプレーできるよう、最後の準備を進めていきます。皆様の温かいご声援を、出場32校に送っていただければ、ありがたいです。

――2025年は「昭和100年」「戦後80年」にあたります。日本学生野球憲章に明記されている「教育の一環」である高校野球の立ち位置を、改めて教えていただけますでしょうか。

井本 高校野球創始から、日本の将来を担う人材育成を念頭に歴史を歩んできました。教育の一環である高校野球の理念は、これから先も変わりなく続けていきたいと考えています。今の時代だから、一方的な押し付けではなく、野球をやることによって、さまざまなことを学び、それが将来につながるということを、連盟や指導者が丁寧に伝えていくことで、結果として「教育の一環」だったと感じてもらうことが重要ではないかと考えています。

 社会に必要な人材育成の場であるとも言われていますが、時代によって必要とされる人材は変わっているはずで、そういった時代の要請を感じながらも、そればかりを意識し過ぎないようにしていくことも大事であると思います。

 私自身もそうですが直接、戦争を経験した世代でもありませんし、戦争の悲惨さをどれくらい認識できているかも分かりません。戦争を含めて天災、新型コロナウイルスなど世の中が平穏でない状況では生きることが第一で、スポーツや娯楽の出番はないと思っています。そう考える中、今年、戦後80年を迎えるにあたり、戦争でお亡くなりになった方々に哀悼の意を表すとともに、平和だからこそ、自分たちが好きなこと、高校野球ができることを改めて考える機会にすべきであるとの思いを強く持っています。

 今年9月、U-18ベースボールワールドカップが沖縄県内で開催されます。次代を担う人たちが世界から集まります。このタイミングでの沖縄開催には、何か運命的なものを感じます。運営の一翼を担う日本高校野球連盟としても、意義を感じながら、選手たちが悔いなくプレーでき、その結果として沖縄から世界へ素晴らしい試合を届けられるよう、運営をしていきたいと思っています。

あの星を目指せ!


 野球経験はない。連盟を動かしていく上では、ユニフォームを着たかの有無は、関係ないと言っていい。組織を束ねるノウハウに長けており、冷静な判断で物事を前に進めている。

――日本高野連に入局するまでの、野球とのつながりを教えてください。

井本 小学生まで、遊びの延長でやっていた程度です。父は・・・

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グラウンドの主役は、選手である。各カテゴリーの大会、試合を開催していく上で、多くの関係者が尽力している。競技を発展させるには技術向上、普及・振興のほか、国際化、ルール作り、審判員の養成など、さまざまな活動がある。組織をマネジメントする各球界幹部に、運営視点から話を聞く連載。

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