日本野球連盟(JABA)は社会人野球を統括する組織だ。企業チームは夏の都市対抗、秋の社会人野球日本選手権に照準を合わせる一方で、全加盟数のうち約8割を占めるクラブチームは夏の全日本クラブ選手権出場を目指す。目の前の一球に情熱を傾ける、社会人野球の存在意義を語ってもらった。 取材・構成=岡本朋祐 写真=BBM 
社会人野球を統括する日本野球連盟の事務局は、東京都内にある。都市対抗、全日本クラブ選手権、社会人野球日本選手権を主催している[写真=BBM]
地区連盟が工夫した運営
3月8日から4日間、JABA東京スポニチ大会が行われ、鷺宮製作所が初優勝を遂げた。サヨナラ勝ちという劇的な展開に、2025年の盛り上がりを予感させる。 ――JABA東京スポニチ大会を皮切りに、シーズンが到来しました。
谷田部 各チームの皆さんからは、3月上旬にJABAスポニチ大会が始まると、4月以降は各地でJABA大会が開催され、あっという間に6月からの都市対抗二次予選、8月の都市対抗本大会を迎えるという話を聞きます。われわれJABA(日本野球連盟)は主催者として都市対抗、全日本クラブ選手権、社会人日本選手権を運営しています。一方で優勝チームが社会人日本選手権の出場権を得るJABA11大会は、各地区連盟が運営。社会人日本選手権は活性化を目的とした制度改革が2009年にあり、都市対抗、全日本クラブ選手権、JABA9大会の優勝チーム、翌年からは日立市長杯とベーブルース杯も加わり11大会、計13チームが出場できる形式となりました(計32チーム)。JABA大会を盛り上げようと、子どもたちが楽しめるイベント、ご来場者対象の抽選会など、各地区が工夫した運営をしています。
――今年の都市対抗は例年より約1カ月半遅れの8月28日開幕。2002年から10年までの日程に戻りました。また、社会人日本選手権は10月28~30日、11月4~12日と分割で開催されます。意図について、教えてください。
谷田部 試合会場である東京ドーム、京セラドームの使用日が背景にあります。JABAに優先権があるわけではありませんので、プロ野球の
巨人、
オリックスのほか、関係各所との調整が必要となります。社会人日本選手権はオリックスがポストシーズンに進出するかによって状況が変わるため、直前まで大会日程が確定できない事情がありました。今年は第50回記念大会。各種イベントを準備するにあたり、ご協力をいただく団体、個人へ依頼させていただくには、日程を固める必要があったんです。今年は各方面のご理解をいただいた上で、分割開催という決断に至りました。開幕前日には式典を予定しており、長年、大会にご尽力された方をご招待し、試合日には始球式なども計画中です。近畿地区連盟、主催の毎日新聞社と協議する流れとなります。社会人日本選手権は1951年からの日本産業対抗野球大会の発展的解消を経て、74年に始まりました。都市対抗は各都市の代表チームが集い、補強選手制度があるのに対し、社会人日本選手権は単独の日本一を争う場という大きな違いがあります。各企業は都市対抗を年間のメインと位置付けている部分があり、観客動員の点ではやや苦戦しています。ただ、選手たちは都市対抗、社会人日本選手権の二大大会を大きな目標としている。都市対抗の8月開催も、二次予選での出場決定から時間が空き、本戦直後には社会人日本選手権が控え、各チームの調整は難しくなると思いますが、ご理解の上で進めていきたいと思います。
企業チームを持つ意味
2024年のJABAに加盟しているチーム数は企業チームが96チーム、クラブチームが245チームで、計341チームとなっている。ここ最近は、会社登録(企業チーム)が増加傾向にある。 ――これまでのJABA加盟チーム数の推移を見ると、それぞれの時代背景が反映しているように思えます。
谷田部 企業チームは昭和38年(1963年)の237チームをピークに計313チームが加盟していました、バブル崩壊後は企業チームが減少。しばらくは70台が続いていた一方で、クラブチームは増加傾向にありました。総数はほぼ変わらず、単純に比率が8対2から2対8へ。ところが・・・
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