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能見篤史コラム【特別編】第27回「WBCベネズエラ戦の継投」

 

ベネズエラ戦に先発した山本由伸はデータを基に打者への入り方を一人ひとり緻密に決めていた[写真=Getty Images]


メジャーの緻密な準備


 前回に引き続き、今回もワールド・ベースボール・クラシック(WBC)について振り返っていきたいと思います。

 準々決勝に山本由伸投手が先発するということは大会前からある程度決まっていました。ただメジャー・リーグの選手には制約があり、(準々決勝でルール上可能な)80球まで投げるということはまずありませんでした。本人も投げられるなら絶対に投げたかったでしょうけど、そこはこちらでコントロールできないので仕方がないこと。そのあたりは他チームも同じで、例えばアメリカもタリック・スクーバル投手が1試合しか投げられなかった。そういう部分はおそらく今後変わっていくんでしょうけど。それでも由伸は、昨年ワールド・シリーズまであれだけ投げたにもかかわらず、しっかりとWBCに合わせて出場してくれたので、それだけでありがたかったですね。

 由伸が4回表に62球目で二死を奪ったところで、あと1人投げるかどうかの確認のため、僕はマウンドに向かいました。本人の中にもできるだけ投げたいという思いがあると感じたので、「あと1人任せたよ」とだけ伝えました。最後はきっちり見逃し三振で締めてくれました。

 彼と同じチームで戦ったのは、僕がオリックスで現役を引退した2022年以来でしたが、人間的には何も変わっていませんでした。でも考え方は、メジャーに行ってからずいぶん変わりました。やはり対戦しているバッターが違いますから。まずストレートの使い方が変わった。今は、日本にいたころのようにストレートを中心に押していくというスタイルではありません。向こうはそれを許してくれない。いくらいい真っすぐでも、向こうでは甘ければ捉えられるので。日本ならファウルになるんですが。逆に日本にいたころは多くなかったツーシームなど曲がりの小さい変化球が増えているでしょうし、バッター一人ひとりに対する入り方を非常に緻密に考えています。

 WBCのときも、1イニング投げ終えて帰ってくるたびに、ベンチでは戦略スタッフとして日本代表に参加していたドジャースのウィル・アイアトンさん、若月健矢捕手と、次のイニングに回ってくるバッターに対して一人ひとりデータを見ながら、「この選手にはこれで行って、次のバッターにはこういう入り、その次のバッターにはこれ」というふうに入り方を全部決めていた。メジャーではおそらくそれが普通なんでしょう。

 データに関しては日本よりもメジャーのほうが・・・

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能見篤史のノウミ発見伝

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