
経験豊富で、自分の仕事を熟知していた長野久義。一緒にプレーしたかった人物だ[写真=桜井ひとし]
今回のテーマを決めたとき、担当編集者から「ベテランと呼ばれる年齢になって、最初にぶつかった壁は?」と聞かれた。正直、意味が分からなかった。「壁」といえば、何かに行く手を阻まれ、停滞するイメージ。でも、僕の景色は逆だ。ベテランになることは、立ち止まることじゃない。経験という財産が増え、それを若手に共有し、彼らを正しく導く役割を得た証し。だから、「壁」という言葉がしっくりこないんだ。
僕自身が若手だったころも、チームの先輩たちから多くを学んだ。野球の技術より、選手としての振る舞いだ。道具を大切に扱う、時間を厳守する、自分の仕事を果たす……。大事も小事も、すべての年長者が僕の先生だった。彼らの言動を観察し、次々質問をぶつけた。そうやって若い選手に教え、見守るのがベテランの責任だ。やがて教わった側が、次の世代へそれを伝えていく番が来る。
ベテランは・・・
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