週刊ベースボールONLINE

クロマティコラム

クロマティコラム No.34 MLBの新ルール「最近のMLBは毎年のようにルールをいじりすぎだ」

 

ヘルメットに手を当てて意思表示をし、投球結果を検証できるABS。このシステムの導入はポジティブな変更だったと思うよ[写真=Getty Images]


 ポストシーズンが熱を帯びる中、MLBでは新しい労使協定の交渉が進み、機構側から選手会へ試合方式の変更案がいくつか示された。

 まず、レギュラーシーズンを減らす案。162試合を154試合にするという。これは問題ない。原則として月曜を休養日にするらしいから、先発投手の使い方も変わるだろう。今は中4日で年間30試合あまり投げているけれど、日本のように中5、6日でローテーションを回して25試合前後になる計算だ。シーズンが早めに終われば、ほかの人気スポーツと時期が重なりにくいのも利点。10月のアメリカはNBAにNFL、カレッジフットボール、NHLとスポーツが目白押しだからね。

 ディビジョン・シリーズを5戦3勝制から7戦4勝制に広げる案も、僕は賛成できる。放映権料やCM収入が増え、球団もテレビ局も喜ぶだろう。ただし、上位シードのチームが対戦相手を指名できるというヤツはいただけないな。選ばれた側は「俺たちなら勝てると踏んだのか? ナメてるのか?」と受け取るに決まっている。リスペクトの問題になってしまうんだ。まあ、その怒りが相手チームのやる気を爆上げして、番狂わせが起きるかもしれないが。

 それにしても、最近のMLBは毎年のようにルールをいじりすぎだ。そのたびに対応させられる選手はうんざりしているよ。もちろん、「公平になった」と感じるABS(自動投球判定)のような変更もある。監督が審判に食ってかかる場面も、ずいぶん減った。今季はチャレンジで判定が覆った回数が5600回を超えたと聞く。裏を返せば、それだけ誤審があったということ。たった1球の判定で、優勝の行方が決まることもある。ABSには選手だけでなく、審判自身も救われているはずだ。ピッチクロックも残していい。ABSとピッチクロックは、NPBでも取り入れるべきだ。

 一方で、首をかしげたくなる変更もある。ベースを大きくした理由が僕にはさっぱり分からない。選手の足が大きくなったのかな(笑)。もし僕がルールを決められるなら、何かを足すのではなく、余計なものを削っていくね。守備シフトの制限もいらない。内野ではすでに制限が始まっていて、今度は外野にも広げようとしている。長打が減ったからというが、原因はシフトじゃない。選手が怠けて、ハッスルしないからだ。僕はいつだって、二塁に向かって全力疾走していた。今はみんな、のんびり走り、一塁ベース上で体をくねらせ“ダンス”しているだけだよ。

 延長タイブレークで走者を二塁に置くのも、ナシだね。日本のような引き分けは問題外だ。決着がつくまで戦い抜いてこそ野球。コリジョン・ルールにしても、闘牛士じゃあるまいし、捕手が走者をひらりとかわしてどうする? 体当たりで吹っ飛ばすぐらいのほうがエキサイティングだよ。かつて「投高打低」が問題視されて低くされたマウンドも、元の高さに戻してほしいくらいだ。

 僕は“オールド・スクール”タイプだから、長い歴史が育ててきた、昔ながらの野球が好きなんだ。こんなに多くのルール変更を、いったい誰が望んでいるんだろう。野球は“そのままの野球”が一番面白いのに。

PROFILE
ウォーレン・クロマティ●1953年9月29日生まれ。アメリカ・フロリダ州マイアミビーチ出身。マイアミ・デイド大を経て74年からエクスポズ、84年から巨人に在籍し、90年までプレーした。89年に首位打者、最高出塁率、84年と86年に最多勝利打点。89年に最優秀選手、ベストナインは3回受賞(86、87、89年)。NPB通算779試合、打率.321、171本塁打、558打点。91年にロイヤルズでプレーし同年限りで現役引退。以降は野球解説者などで活動し、YouTube「クロマティチャンネル」を展開中。
最強助っ人・クロマティが斬る!!「日米・野球考察」

最強助っ人・クロマティが斬る!!「日米・野球考察」

最強助っ人・クロマティ(元巨人)が日米の野球を見て、気が付いたこと、日米両方の野球関係者と話したことなど、クロマティならではの視点で読者の皆さんにお話しする隔週コラム。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング