トレードの交渉とは、どのように行われるのか。もちろんそれは球団の編成担当者たちの間で密かに行われ、その経緯が公開されることはない。だがやはり、その舞台裏をのぞいてみたいのは野球ファンとしての正直な気持ちだろう。01年10月から03年12月までロッテで、球団発足時の04年11月から05年10月まで(最後はGM代行)に楽天で編成部長を務めた広野功氏に、移籍交渉の進め方を聞いた。 取材・構成=落合修一、写真=BBM 放出候補2人のうち、阪神が選んだのは前田
私はロッテ編成部長時代に1件、楽天編成部長時代に1件、交換トレードを成立させました。いずれもこちらから持ちかけたものです。
ロッテでは、93年にドラフト1位で入団しながら先発ローテーションに定着しきれなかった
武藤潤一郎投手を02年、
日本ハムに放出しました。
この件は、「武藤の放出ありき」で交渉しました。素質はあるが、ロッテではこれ以上出番がない。刺激を与えれば殻を破るかもしれない、という理由です。チームのことだけでなく、選手自身のことも考えての放出でした。
現場の
山本功児監督(当時)と相談し、中継ぎ投手の層を厚くしたいという要望があったので、日本ハムから
黒木純司投手を獲得しました。ロッテ戦で良いピッチングを見せていたことと、当時のロッテのエースは同姓の
黒木知宏投手で、彼らは延岡学園高時代にバッテリーを組んでいました。そのような話題性を狙ったことも否定しません。
新球団・楽天では分配ドラフトなどを経て1年目のシーズンが開幕しても、「遊撃手が足りないぞ」という事実がありました。そこで目をつけたのが・・・
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