話題も実力もドラフト史上最高、最強!

“コーちゃんフィーバー”“神宮のON砲”“荒川騒動”そして“不惑のホームラン王”。
“数々の話題で注目を集め、ドラフト史上でもにぎやかなものとなった1969年を振り返る。
文=大内隆雄

　前年、1968年の第4回は、ドラフト史上最高の“豊作年”と言われたが、それは、「現在から見れば」という限定句がつく。ドラフト当時は、田淵幸一(法大)ひとりのドラフトと言われたもので、彼が話題を独占していた。巨人を熱望していた田淵がライバル・阪神に指名されたことで、ますます“田淵ドラフト”の様相を呈した。山本浩二(法大)、大橋穣(亜大)、有藤通世(近大)は地味な存在。星野仙一(明大)、野村収(駒大)の評価はさほど高くなかった。山田久志(富士鉄釜石)、加藤秀司(松下電器)、福本豊(同)は無名。東尾修(箕島高)、大島康徳(中津工高)は高校生。金田留広(日本通運)、島谷金二(四國電力)は下位指名であった。

　ここは68年を語る場ではないのだが、ドラフトはあくまで結果なのだ。

　そこへいくと翌69年は、夏過ぎからものすごいフィーバーとなった。なにしろ、あの・・・