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ドラフト抽選の裏側

元巨人チーフスカウト・中村和久が経験したドラフト最前線での駆け引き

 

巨人は“独自路線”を地で行く球団だ。「重複指名」「抽選勝利」という言葉は実に刺激的で魅力があるように感じるが、ドラフトで目指すものとは、欲しい選手を単独で指名すること。巨人で長くスカウトを務めた中村和久氏が、“戦場”で起きた3つの出来事を振り返る。

CASE1 長野久義の場合


 長野のケースに関しては、スカウト側の見込みが甘かったということ。巨人入りを熱望していた本人を待たせてしまったことについて、申し訳なさを感じている。

 2006年、つまり長野の日大4年時。当時の補強ポイントは左腕投手、そして右の内野手だった。高校生ドラフトでは外れ1位ながら坂本勇人(光星学院高)を獲得できた。

 肝心の左投手については、最も注目していた大隣憲司(近大)は希望枠をめぐる争いでソフトバンクに敗北。マークしていた服部泰卓は調査によりトヨタ自動車に残留することを確認。最終的に、希望枠への回答書を提出する期限の前夜に金刃憲人(立命大)にイエスの返答をもらい、無事に決めることができた。

 そして長野である。内々の調査で、彼は巨人以外には行かないという心証を得ていた。当時の評価は上位から5番目ほど。彼の気持ちを感じていた我々スカウトは、「行けるだろう」という気持ちだった。しかし。4巡目のウエーバー順のトップだった日本ハムが長野を指名してきたのだ・・・

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