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写真=内田孝治、高塩 隆、大泉謙也、川口洋邦、荒川ユウジ、栗山尚久、小山真司、高原由佳、伊藤真



 降りしきる雨を切り裂いて、仙台の空に星野仙一監督が9度舞った。

 球団創設9年目で成し遂げた悲願の日本一。Kスタ宮城、仙台、東北、そして全国のイーグルスファンが歓喜に沸いた。「東北の子どもたち、全国の子どもたちに勇気を与えた選手たちをほめてやってください!」

 目に涙を浮かべた指揮官の脳裏には、犬鷲軍団が歩んできた苦難の道のりが浮かんでいた。監督就任1年目に見舞われた東日本大震災――。「野球を続けていいのか」と苦悩したナインだが、慰問に訪れた避難所の人々から逆に勇気づけられた。「就任して3年間、被災者の方々のためにも、日本一になって勇気づけるしかないと思ってやってきた。ほんの少しでも、スズメの涙でも皆さんの癒やしになってくれれば」

 無敗のエース・田中将大で臨んだ第6戦を落とし、「正直、嫌な感じがした」と星野監督。だが、隣接する仙台市陸上競技場で行われたパブリックビューイングも含め、集まった約4万人のファンの底力が「日本一」の夢を後押しした。「多くのファンが球場へ来てくれて、その中で選手も本当に頑張ってくれた。ありがとう!」

 選手、スタッフ、ファンが一体となって頂点をつかんだ一年。杜の都に轟いた闘将の歓喜の雄叫びが、何よりもそれを証明していた。

▲トロフィーを掲げ笑顔を見せる田中を中心に、左より則本、美馬、藤田、小山伸



▲第3戦、第7戦に登板し、ともに無失点で勝利に貢献した美馬がシリーズMVPに。決戦の舞台にも「緊張はなかった」と飄々と投げ、「出来過ぎです」と笑顔



▲球場に入れない多くのファンがパブリックビューイングで試合を見守った



▲左より優秀選手賞の田中、MVPの美馬、優秀選手賞の銀次、内海、敢闘選手賞の長野



▲日本一のペナントをファンに披露するナインたち。ケガで無念の離脱となったラズナーの等身大パネルを持つのは森山投手コーチ



▲敢闘選手賞を受賞した巨人・長野には小社社長・池田哲雄よりTOSHIBA「dynabook REGZA PC D814」が贈呈された

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