週刊ベースボールONLINE

2014ドラフト特集第3弾

元巨人チーフスカウト中村和久の視点

 

純粋に勝ちを追求してきたプロから、教育の意味合いも持つ学生野球へ。高校野球であればなおさらだ。ここにプロの要素が交わることでどんな変化が起こるのだろうか。元巨人チーフスカウトの中村和久氏が、高校の指導現場にプロ経験者が本格参入するメリットと、同時に懸念される課題を挙げる。



環境の違いと作戦面の難しさ

 アマチュアの現場にプロの指導者が参入すること。これにより投、打、走、守のすべての技術アップの一助となることは間違いない。

 ただ、良いことばかりではない。物事には、メリットがあれば必ずデメリットも存在する。ここではその点について考察していきたい。

 プロ野球には144試合のペナントレースがある。そして大学はリーグ戦。それらと大きく異なるのが、高校野球のトーナメント戦である。同じアマチュアでも、この違いが大きい。勝ち点制のリーグ戦ならば「今日負けても明日がある」という気持ちになれる。だが、高校野球ならば負ければ終わりで次には進めない。「明日がある」戦いに浸かっていた者が一発勝負に切り替えるのは、実は難しいことなのだ。

 また、指導面でも大きな壁に直面するはずだ。大学生ならある程度は授業を選べるし、野球の練習に割く時間を融通することができる。しかし高校ならば授業や学校行事などさまざまな制約が出てくるだろう。1日の時間は少ない。高校3年間とは言うものの、実際に指導できるのは3年夏までの2年4カ月。この短い期間で選手をどう成長させるのか。ある程度の経験を積まなければ、これは把握しづらいのではないか。

 プロで培った最高の技術を教えるのは素晴らしいこと。しかしながら、その相手はまだ成長途中の高校生。「1日1000スイング」という目標を掲げたところで、それをこなせる体力、時間があるのかどうか。そういった細かい問題にも対処しなければならないのだ。

 作戦面での難しさもあるだろう・・・

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