チームを勝利に導く一撃
それが最強打者だ! こちらの質問の仕方が悪いこともあるのかもしれないが、
野村克也氏(元南海ほか)に自らの打撃論に関して話を振っても明確な答えが返ってくることが少ない。現役時代、捕手という重労働のポジションを担いながら通算2901安打、657本塁打、1988打点はすべて歴代2位。まぎれもない大打者の一人であるのだが、本人はそう思っていない節がある。
「俺はD型だったからな」と自嘲気味に話すことが多いのだ。野村氏は打者のタイプを4つに分け、投手をリードする際の根拠としたがD型とは「球種にヤマを張るタイプ」のことをいう。ちなみにA型は「直球に重点を置きながら、変化球にも対応しようとする」、B型は「内角か外角、打つコースを決める」、C型は「右翼方向か左翼方向か、打つ方向を決める」タイプのことだ。察するに、技能だけで打つことができずに、頭を使わなければいけないところに野村氏はコンプレックスのようなものを抱えているのではないのかと思われる。
「球種にヤマを張る」という言い方は「データを駆使する」という言葉に置き換えられるだろう。相手バッテリーの配球を読み、ベストボールを打ち砕く。しかし、それは裏を返せばデータが少なければ投手攻略に苦慮することを意味する。例えば日本シリーズ。野村氏が現役時代、もちろん交流戦などなく、セ、パが真剣勝負をするのは頂上決戦のみ。それでもデータを集めただろうが、現在ほど詳細なものもなかったはずだ。
初見の投手との対戦。データの蓄積がない中で、打者は己の本能だけで勝負しなければならない。野村氏は現役時代に・・・
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