48人を選抜する今回のランキングでは下位に位置しているが、イチローがそうだったように、“出世順位”である。この中にも、そんな可能性を秘めた選手がいるはずだ。中村スカウトの短評とともにお届けする。 37位 井領雅貴[JX-ENEOS] いりょう・まさたか[外野手]175cm/86kg/右投左打/1989.11.4生
選手のタイプ: 丸佳浩(
広島東洋)
経歴: 神奈川・桐蔭学園高
合計 78.5点 打力 18.0
守備力 16.0
走力 14.0
精神力 14.5
将来性 16.0
センス抜群の高卒7年目 桐蔭学園高時代からスカウトの目を集めるも、プロ志望届を提出せずに社会人の名門JX-ENEOSに進んだ。上背はないが脚力に恵まれ、シュアな打撃、強肩と野球センスにあふれた外野手。これまで幾度となくドラフト候補として名前が挙がったものの、指名はなし。年齢が20代半ばに差し掛かり、プロ入りのリミットが迫っている。
中村メモ 「一見すると地味なプレースタイルだが、打力、脚力のある実力派と呼べそうだ。高卒7年目でステップアップのチャンスをうかがう」
38位 井口拓皓[日本通運] いぐち・たくあき[投手]176cm/80kg/右投右打/1991.1.16生
選手のタイプ: 武田久(北海道
日本ハム)
経歴: 埼玉・市川越高-駒大
合計 78.5点 球速 14.0
変化球 18.0
制球力 16.0
精神力 16.0
将来性 14.5
度胸満点の中継ぎ候補 体格および投球スタイルに大きな特徴こそないが、バランスがとれた右腕で、総合力で勝負するタイプ。駒大時代には2年春に神宮初登板を果たし、4年時にはエースを務めて東都通算9勝9敗。制球力に優れ、大崩れしない堅実なスタイルはセットアッパー向き。大学、社会人の先輩・武田久(北街道日本ハム)の背中を追いかける。
中村メモ 「スライダーをアウトローに決める精度が高まっている。マウンド度胸も満点で、ピンチでマウンドに上がる中継ぎに適性がありそう」
39位 手銭竜汰[九州共立大] てぜん・りゅうた[外野手]172cm/73kg/右投両打/1992.6.21生
選手のタイプ: 藤井淳志(
中日)
経歴: 熊本・秀岳館高
合計 78.0点 打力 14.0
守備力 16.0
走力 18.0
精神力 14.0
将来性 16.0
機能性高いスイッチヒッター 秀岳館高時代は遊撃手を務めていたが、九州共立大進学後に外野手に転向。1年春から出場機会を得ている。セールスポイントはなんといっても50メートル5.7秒の俊足。その脚力は中堅での守備にも生かされている。打球への反応も良く、広い守備範囲をカバーする。小技も駆使するチームには欠かせないプレーヤーと呼べそうだ。
中村メモ 「小柄ではあるが守備力、脚力に定評のある外野手で、進塁打も打てる器用さがある。スイッチヒッターという特性も生かしたい」
40位 伊藤諒介[法大] いとう・りょうすけ[三塁手]173cm/83kg/右投左打/1992.6.11生
選手のタイプ: 石井義人(
巨人)
経歴: 兵庫・神港学園高
合計 78.0点 打力 16.0
守備力 14.0
走力 14.0
精神力 16.0
将来性 18.0
才能秘めた左のスラッガー 神港学園高時代には94本塁打を放ち、プロ注目のスラッガーだった。法大では1年春から開幕スタメンデビューを果たし、大活躍を予感させた。しかしその後は右肩の故障が尾を引き、レギュラーに定着できず。そのため一塁を守ることが多かったが、この春から三塁手に復帰。ラストイヤーにスラッガーの意地を見せられるか。
中村メモ 「高校通算94発のスラッガー。内角球を回転で打つ技術は一級品だが、外角打ちに課題を残す。気迫を前面に出したプレーに期待」
41位 石川桜太[東芝] いしかわ・おうた[外野手]180cm/83kg/左投左打/1990.5.17生
選手のタイプ: 下園辰哉(横浜
DeNA)
経歴: 千葉・東海大望洋高-東海大
合計 76.5点 打力 16.0
守備力 16.0
走力 16.0
精神力 14.0
将来性 14.5
バランス良好な左の外野手 攻守走のバランスのとれた左の外野手で、昨夏の都市対抗では首位打者と若獅子賞を受賞。高校時代に甲子園実績はなく、東海大で定位置を獲得したのが4年春と遅咲きの選手。それだけに伸びしろも感じさせる。守備での評価は現時点でも十分に高い。脚力もあり、トップバッタータイプの好選手と分類できそうだ。
中村メモ 「守備力を中心とした三拍子のバランスがそろった外野手。打撃での力感を身につければ、さらにレベルの高いプレーができそう」
42位 岡部通織[立大] おかべ・みちおり[外野手]178cm/93kg/左投左打/1992.6.4生
選手のタイプ: 島内宏明(東北
楽天)
経歴: 東京・帝京高
合計 76.0点 打力 16.0
守備力 16.0
走力 14.0
精神力 14.0
将来性 16.0
打で魅せる東京六大学三冠王 昨秋に打率.460で東京六大学リーグ首位打者に輝いた左の外野手。体をうまく回転させ、広角に弾き返す技術を持っている。この春は四番に座りながら、なかなか調子が上がらないが「相手にマークされながらも打ってこそ本物」と意欲的。昨秋のようなチームを勝利に導くバッティングを何としても取り戻したい。
中村メモ 「リストの柔らかい左の外野手で、素材の良さは疑いようがない。内角球のさばき方がうまく、右翼線に鋭い打球を飛ばすことができる」
43位 藤本知輝[慶大] ふじもと・ともき[外野手]182cm/83kg/右投右打/1992.4.13生
選手のタイプ: 鵜久森淳志(北海道日本ハム)
経歴: 神奈川・慶應義塾高
合計 74.5点 打力 17.5
守備力 14.0
走力 13.0
精神力 14.0
将来性 16.0
陸の王者が誇る長距離砲 慶大下田グラウンドではネット越え、民家の屋根直撃など、数々の“伝説”を残してきた右の長距離砲。それがこの春、神宮球場でも発揮されている。東大2回戦でリーグ戦通算4号目をマークすると法大2回戦でも5号。いずれも勝利に直結する一打となりクリーンアップとして存分な働き。未完の大器がついに目を覚ました。
中村メモ 「球をしっかりとらえたときの飛距離は、どの強打者にも負けないものがある。練習で見せている鋭いスイングを神宮でも披露したい」
44位 鈴木優[雪谷高] すずき・ゆう[投手]180cm/75kg/右投右打/1997.2.5生
選手のタイプ: 吉本祥二(福岡
ソフトバンク)
合計 74.0点 球速 14.0
変化球 15.0
制球力 14.0
精神力 14.0
将来性 17.0
成長過程の都立No.1右腕 今春都大会初戦、21世紀枠でセンバツ出場の同じくドラフト候補である小山台・
伊藤優輔と投げ合い、10安打7失点ながら自責点は2。自己最速タイの145キロもマークし、「負けたくなかった」というライバルに投げ勝った。下半身が使え切れていないフォームはまだまだ改善の余地があるが、真上から投げ下ろすストレートは威力十分。
中村メモ 「球持ちが良く、精度の高いストレートを投げ込む。まだまだ成長過程にあり、試合での実績を残せばさらに面白い存在になりそうだ」
45位 大和田啓亮[日大東北高] おおわだ・けいすけ[投手]178cm/70kg/右投右打/1996.6.14生
選手のタイプ: 武藤祐太(中日)
合計 73.5点 球速 14.5
変化球 14.0
制球力 14.0
精神力 13.0
将来性 18.0
新たな武器携え雪辱の夏へ 昨秋福島大会では、県内公式戦95連勝中だった聖光学院高から1失点完投勝利を挙げるなど、4連続完投勝利で10年ぶりの優勝に導いた。センバツ出場を目指した東北大会では酒田南高に1対2と惜敗で涙をのんだが、この期間にチェンジアップを習得。最速147キロのストレート、スライダーとともに、新たな武器を加えて夏を目指す。
中村メモ 「角度のあるストレートを投げる好素材の右腕。秋に破った聖光学院高がライバルとなるが、向上心を持って野球に取り組みたい」
46位 松本裕樹[盛岡大付高] まつもと・ゆうき[投手]182cm/78kg/右投左打/1996.4.14生
選手のタイプ: 野村祐輔(広島東洋)
合計 73.0点 球速 14.0
変化球 14.0
制球力 13.0
精神力 14.0
将来性 18.0
躍動する「エースで四番」 1年春から出場機会に恵まれ、同秋には背番号8ながら主戦格として岩手大会優勝、東北大会ベスト4に貢献した。昨春センバツでは2試合のマウンドを経験し、13回1/3で自責点は3。力みのないフォームで制球力が高く、エースナンバーを背負う昨秋は聖光学院高に競り勝つ粘投を披露した。1年秋には四番を任されるほど打撃もいい。
中村メモ 「安定した制球力を持つ。投げないときは中堅を守る“二刀流”で特大の場外弾もマーク。いずれにも才能を感じさせる万能型だ」
47位 岸潤一郎[明徳義塾高] きし・じゅんいちろう[投手]175cm/75kg/右投右打/1996.12.8生
選手のタイプ: 久保康友(横浜DeNA)
合計 72.5点 球速 14.0
変化球 14.0
制球力 14.0
精神力 16.0
将来性 14.5
全ポジション制覇の“二刀流” 今春センバツで投げては3試合493球21奪三振、防御率2.57、打っては10打数3安打1打点の打率.300。高校入学までにすべてのポジションを経験し、明徳義塾高に進むと1年夏から任されるマウンドでは最速145キロのストレートに5種類の変化球を操る。身のこなしから判断力まで、どこを切り取ってもセンスを感じさせる“二刀流右腕”である。
中村メモ 「投手、野手をこなす実力派だが、投の成長度が行き詰まりを見せている。そのバットコントロールには天性のものを感じさせる」
48位 岸田行倫[報徳学園高] きしだ・ゆきのり[捕手]175cm/76kg/右投右打/1996.10.10生
選手のタイプ: 尾崎匡哉(北海道日本ハム)
合計 72.0点 打力 14.0
守備力 14.0
走力 14.0
精神力 12.0
将来性 18.0
マルチの活躍で評価急上昇 背番号2ながら今春センバツではリリーフのマウンドに。4回1/3を投げて打たれた安打は1本、6奪三振と1点差を追うチームを鼓舞し続けた。惜しくも沖縄尚学高に敗れたが、そのマルチぶりに評価は急上昇。報徳学園高入学時は1年秋から三番・遊撃で起用され、2年秋に捕手転向。強肩強打でどこでも守れるマルチプレーヤーである。
中村メモ 「捕手、遊撃手、投手と複数ポジションをこなすことができる身体能力を持つ。武器である力強いスイングをさらに磨き上げたい」