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猛虎打線が爆発し、リーグ優勝の巨人をCSファイナルでまさかの4連勝で下した阪神ナイン。9年ぶりの日本シリーズ進出で85年以来29年ぶりの2度目の日本一を目指す



交流戦成績:24試合9勝15敗0分勝率.375[11位]/対ソフトバンク成績:2勝2敗[ホーム1勝1敗、ビジター1勝1敗]/○数字はリーグ内順位



先発と守備は安定感抜群不安は中継ぎ陣か…


 メッセンジャー、能見、藤浪、岩田の先発4人はプレーオフに入り、安定感抜群の投球内容を示した。強力なソフトバンク打線でさえもそう簡単には攻略できないはずだ。計算できる先発陣が4人いることはチームに大きな安心感をもたらすのは間違いない。

 不安は、中継ぎ陣。先発がもし5回まで踏ん張ることができずに降板したときは、後手に回る可能性が高い。シーズンを通して8回を任されたセットアッパーの福原の調子が上がらず、8回は2人の投手で切り抜けるという起用も必要だ。

 ただ、9回は絶対的な信頼を誇る呉昇桓がいる。後半戦から投球が安定し、カットボールもキレを増した。とにかく9回までつなげば勝てるという意識と、呉のイニングまたぎもいとわない精神力がチームに勝利をもたらす。

 守備の面では、内外野ともに安定感を保っている。ただ、時に凡ミスを捕手、内野陣が犯すときがあるので、そこだけ注意したい。

西岡&福留の復調で猛虎打線の点が線に


 CSから一番・西岡、二番・上本の打順が固定され、ファイナルステージからは、打線が上向きになっていった。この新一、二番はさまざまな攻撃パターンを持っており、相手投手には相当なプレッシャーを与える。 四番に勝負強さ抜群の打点王・ゴメス、五番に首位打者のマートンが続くが、その前の三番・鳥谷の打撃が好調を維持していることも打線が上向いた大きな要因だ。一、二番が凡退しても鳥谷がチャンスメーカーとなり、走者が得点圏に行けばクラッチヒッターになっていく。好調な助っ人2人と合わせ、相手がクリーンアップを抑えるのは至難の業か。

 さらに六番・福留が9月から抜群の状態で切れ目のない打線を形成。シリーズではパの主催試合でDHもあり打線のバリエーションが増え、控えも右の代打要員、新井兄弟に関本、左では今成がケガから復帰できれば、質の高い陣容になる。

 捕手に入る鶴岡、藤井の打撃が好調になれば、どこからでも点を奪える完ぺきな猛虎打線になるだろう。

鳥谷・福留の好調維持と積極采配ができるか!?


 カギを握るのは三番・鳥谷と六番・福留だ。CSファイナルで猛打を誇ったまま、日本シリーズに突入する。鳥谷は、対ソフトバンク戦で5割近い打率を残しており、警戒されるだろうが、そこをかいくぐりたい。一方、福留は当時1割台の打率だったがCSで決勝打、ダメ押し打を放ち、全盛期を彷ふつさせる柔軟なバットコントロールが戻ってきた。

 彼らが機能することで、猛虎打線が線になる。鳥谷が後ろにつなげば、打点王・ゴメス、首位打者・マートンが待っており、ここで勝負を避けても好調・福留が控えており、相手投手は脅威に感じるはずだ。逆に言えば、鳥谷、福留が封じられると猛虎打線が点になってしまう。

 投手陣では、先発陣4人と抑えの呉昇桓は万全。細かくつなぎ、一発を秘めたソフトバンク打線を相手に7回以降の中継ぎ陣が踏ん張れるかがカギ。福原が不安定なため、安藤、松田、高宮の継投で、なんとか呉まで回したい。あとはCSで見せた思い切りのよい采配ができるかだ。

日本シリーズ予想先発

メッセンジャー、能見、藤浪、岩田の先発4枚がCSでもしっかりと仕事をした。1、2戦は甲子園のため、初戦はメッセンジャーに託す。それ以降は流れを見ながらか。第2戦はエース・能見でしっかり勝ちをつかみ、藤浪、岩田に回したい



ピッチングスタッフ
△=左投げ。表の左はレギュラーシーズン、右は2014対ソフトバンク成績


予想オーダー[DH制あり]
△=左打ち、□=両打ち。表の左はレギュラーシーズン、右は2014対ソフトバンク成績


予想オーダー[DH制なし]
△=左打ち、□=両打ち。表の左はレギュラーシーズン、右は2014対ソフトバンク成績


SUBSTITUTION
△=左打ち、□=両打ち。表の左はレギュラーシーズン、右は2014対ソフトバンク成績

積極打法の西岡を一番に固定したことで、足もあり小技がきく上本とともに初回から揺さぶる作戦が使える。DH制の試合もあり、今成がケガから復帰できれば、新井、今成とバリエーションのある攻撃陣が出来上がる



頂点へのキーマン:ゴメス[内野手]


打点王の実力を出す

 チャンスとあれば、ことごとく得点を挙げる。CSファイナルステージも第1戦で初回、先制後、得点圏に走者を残した場面で、2ランで巨人の出鼻をくじいた。ここが勝負所と思えば、集中力は一段階上のステージへ。データをしっかりと頭に入れ、シンプルに振り抜くため、迷いなくバットが出せる。チームもゴメスが打てば勝ちパターンとばかりに盛り上がる。四番が日本シリーズでも本来の打撃ができれば、必然的に阪神の悲願に近づく。
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