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西武2位指名
佐野泰雄[平成国際大・投手]

 

タフネス左腕が約束の上位指名獲得


▲チームメートに紙ふぶきで2位指名を祝福される佐野



 関甲新学生リーグの新記録となる通算30勝(24敗)をマークした平成国際大の佐野泰雄を指名したのは、西武だった。1位指名の呼び声もあった中での2位指名。だが佐野は「高い評価をしていただきうれしい」と言うと、大島義晴監督への感謝の言葉を口にした。

「もし大島監督に出会っていなかったら、僕が上位指名されることはなかったでしょう」

 埼玉・和光高時代から奪三振マシンぶりが注目された快速左腕は、卒業後の進路をプロと決めていた。育成ドラフトで指名される可能性もあったが、佐野を翻意させたのが、97年から平成国際大を指揮する大島監督だった。「プロで先発ローテーションを守る投手はほとんどがドラフト上位指名」と説明した大島監督は「必ず上位指名される投手にする」と佐野と約束。4年後、その約束は守られた。大島監督によると「入学前に同じ約束をしたのは03年に自由獲得枠で西武に入団した山崎敏だけ」。渡辺智男スカウトから大島監督の携帯電話に「2位で入団交渉権を得た」と連絡が入ったときは「本当に心からホッとした」という。

 佐野は大学で習得したというフォークとチェンジアップをはじめ、5種類の変化球を操る。ただ最大の持ち味は最速149キロのストレートだ。右打者の内角をえぐるクロスファイアーは威力がある。どんなに投げても壊れない、頑丈で回復力が早い体も大きな武器だ。4年間で全92試合中、その7割以上の67試合に登板。投球回数は実に452イニングに及ぶ。佐野は「タフさには自信があるので、先発でも中継ぎでも抑えでも、やれと言われたらその役割を全うし、チームの役に立つ選手になりたい」と意気込みを語った。

 佐野にとって西武は生まれ育った地元の球団だ。平野将光牧田和久の2人の、平成国際大の先輩投手がいるのも心強い。プロでのイロハを教えてくれよう。大学で磨かれた原石が、プロで輝きを放つ日が待ち遠しい。
文=上原伸一 写真=長岡洋幸

PROFILE
さの・やすお●1993年1月18日生まれ。タイ・バンコク出身。178cm81kg。左投左打。日本人の父とタイ人の母を持ち、2歳で日本に移住した。和光市で小学3年から野球を始め、高階中時代は和光シニアに所属。和光高で本格的に投手となり、通算21本塁打と中軸打者としても活躍した。平成国際大では1年春からリーグ戦に出場し、通算24勝を挙げた。14年春の関甲新リーグでベストナインに選出
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