日本一にたどり着いたソフトバンク打線の先頭に立ちファイティングポーズを取り続けた若鷹柳田悠岐。フルスイングとスピード感あふれる走塁また、躍動したセンター守備でもチームに大きく貢献した。初めての日本シリーズの戦い144試合戦い抜いたシーズンのことを振り返る。 取材・構成=菊池仁志 写真=筒井剛史 アピール不足!?
──初めて日本シリーズを戦って、どのような雰囲気を感じましたか。
柳田 違いと言えば、注目度の高さですね。それは周りが違うだけで、いざ試合が始まったら自分がやることは一緒でした。
──日本一を懸けた戦いに気持ちの高ぶりはありませんでしたか。
柳田 試合のときは何とも思わなかったです。でも、日本シリーズ前の決起集会の席で(
秋山幸二)監督が「日本シリーズは個人をアピールする場だから、伸び伸びやろう」ということを言われたんです。それで気持ちが入ったことはあります。注目度が高い中で、ここで活躍すれば全国の野球ファンの人たちに知ってもらえるチャンスだなと思いましたね。
──5試合で一番を打って打率.400。第2戦から第4戦まで3試合連続で初回に先頭打者として安打で出塁し、先制のホームを踏みました。いいアピールができたのではないですか。
柳田 その一番バッターとしての働きはできたと思いますが、ホームランを打てなかったですし、まだまだだなと思いました。
──第4戦、2対2の9回裏二死走者なし。ホームランを狙う、絶好のシチュエーションでした。
柳田 ありましたね。そういうところで多少、意識しましたけど、それでも打てなかったんで。まあ、実力不足です。
初の日本シリーズは一番打者として躍動。第2戦から第4戦まで3試合連続で初回の先頭打者として出塁し、先制のホームを踏んだ(写真=湯浅芳昭)
──走者を次の塁に進ませない守備での貢献は大きかったと思います。
柳田 これまで失敗もたくさんしてきたんで、そういうところが生きたかなと思いますね。今シーズン中もそうでしたし、1年目からずっといろいろと、たくさんミスをしてきました。それを日本シリーズでは生かすことができたと思います。
──プレーに関して、「頑張りたい」や「思い切っていく」といった抽象的な表現をすることが多いですが、自分の中では理論的なものが構築されているものだと思います。
柳田 ありますけど……そんなたいしたものじゃないです。ハイ。
──柳田選手の守備を見ていると、落下点、捕球点まで直線的に入ります。ボールを早く捕球することによって、走者は次の塁に進むことができないと感じるのですが。
柳田 それに関しては、プロに入ったときから言われてきたことです。僕が入団したときは井出(竜也)さん(現二軍外野守備走塁コーチ)が一軍の外野守備コーチだったんですけど、「一直線で行け」って言われていました。
──日本シリーズ第4戦の3回二死一、三塁で、
福留孝介選手が同点タイムリーを打った場面ですが、左中間の当たりで三塁ではなく、二塁へ送球し、福留選手を刺しました。
柳田 あれこそ何回も失敗したプレーなんです。ああいうシーンで三塁にボールを投げてセーフでバッターランナーにも二塁に行かれるっていう。そのたびに「うわー、二塁に投げとけばよかったわー・・・
この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。
まずは体験!登録後7日間無料
登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。
登録済みの方はこちらからログイン