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ドラフトが終わり、来年に向け、各球団ともFAや新外国人の獲得などで戦力アップに余念がない。果たして、どういった選手を獲得して、戦力を整えようとしているのか。12球団の補強の動向を探っていく。

福岡ソフトバンクホークス


工藤監督下で投手強化
ビッグネームの獲得も!?


 工藤公康新監督の就任が最大の補強となる。球団がソフトバンクとなった2005年以降、指揮を執ったのは王貞治(現球団会長)、秋山幸二と野手出身。その中で不動のレギュラーとなる野手陣が幅広い年代で育ったが、投手は素質を持て余している選手が多い印象。それらの選手を卓越した理論で高めることができれば、投打に盤石の布陣となるだろう。また、球団が目指す世界一のチームとなるためには、孫正義オーナー-王会長のホットラインで、資金提供も惜しまない。メッツからFAの松坂大輔獲得が確実視され、ブルージェイズからFAの川崎宗則にも触手を伸ばす。獲得となれば、来季も球界の話題の中心に立つ。

オリックス・バファローズ


金子の流出を防げるか
四番に代わる大砲の調査


 2位躍進もあと一歩でリーグ優勝を逃したとあって、戦力補強にも力が入る。気になるのはFA権を取得したエース・金子千尋の動向だが引き留めることができるか。主砲・ペーニャに対しては単年契約提示で回答を待っているが話し合いは難航。ロッテで活躍したデスパイネ、同じく去就未定のグリエル(DeNA)をリストアップしつつ、キューバリーグの視察も行う。その一方で今季は14名に戦力外通告を行い、ドラフトで5人の即戦力を含む9選手を獲得。1位で明大のエース左腕・山崎福也の単独指名に成功した。さらに桑原謙太郎とのトレードで阪神から白仁田寛和を獲得するなど、日本一に向けて準備を進めている。

北海道日本ハムファイターズ


外国人スラッガーの獲得とベテランの抜けた穴埋め

 長打力があり、率を残せる五番候補がおらず、外国人でリストアップ中だ。もう1人の外国人枠には中継ぎを狙う。宮西尚生谷元圭介、クロッタにかかる負担を軽減できる投手が理想だ。また、中継ぎ左腕が宮西1人のため、ドラフト5位で獲得したサイドスロー左腕の瀬川隼郎にかかる期待は大きい。先発陣も欲しかったところで、ドラフト1位で有原航平に。先発ローテの一角に入ることが期待される。大引啓次、小谷野?がFA宣言したため、内野の補強を行うのか、あるいは現有戦力で補うのか、注目される。経験豊富でチームを引っ張ってきた選手が一気に抜けたため、その穴をいかに埋めるかが今後の課題になる。

千葉ロッテマリーンズ


デスパイネの来季は?
必須ポイントは先発投手


 後半戦のMVPとも言える活躍を見せたデスパイネの動向に、補強具合は左右されそうだ。加入直後の8月までは打率.237も、以降は閉幕までに打率.376と右肩上がりに日本の野球への順能力を見せた。来季もプレーすることになれば今季以上の活躍が見込まれるが、選手の加入先はキューバ政府の意向により決定される。年俸も半期分で7000万円(推定)だった今季からの高騰は確実で、補強予算も大きく変わって来るだろう。また、成瀬善久のFA移籍が濃厚なため、先発投手の補強は必須ポイント。ドラフトでは即戦力型の投手は指名しておらず、グライシンガーの放出で余裕のある助っ人投手を獲得したいところだ。

埼玉西武ライオンズ


台湾代表右腕を獲得
中島の動向も調査中


 先発、リリーフ陣を合わせた投手陣が圧倒的にコマ不足で苦しんだ2014年。外国人投手を積極的に獲得して戦力に厚みを持たせようとしている。10月21日には台湾代表の郭俊麟が入団会見。最速153キロを誇る本格派で、昨年の侍ジャパンとの強化試合で先発を務めて6回1失点6奪三振と好投した右腕だ。さらに今季、台湾プロ野球でセーブ王のタイトルを獲得したメヒア、バスケスの両右腕をテストしている。野手では2年前までチームに在籍していた中島裕之を調査中だ。しかし、何と言っても最大の“補強”は本塁打王のメヒアとFA権を取得した炭谷銀仁朗の引き留めに成功したことだったかもしれない。

東北楽天ゴールデンイーグルス


助っ人大砲の獲得が今オフ最大の懸案事項

 補強ポイントについて、球団首脳は「ウチの場合は全部」と口をそろえる。中でも一番の懸案事項となっているのが外国人の右の大砲の獲得だ。最下位低迷の大きな要因となったのが外国人。2014年はユーキリスと左腕のブラックリーが大誤算に終わった。A.ジョーンズ、ラッツの去就は未定ながら、長距離砲の獲得は絶対条件。また、若手がそろう先発陣の中にも柱となる助っ人も不可欠だ。一方、FA戦線では日本ハムの大引啓次の獲得を目論むが、ヤクルト入りが濃厚とあり形勢は厳しい状況。チームはDeNA、西武をそれぞれ戦力外となった藤江均山崎浩司らの獲得も視野に入れながら立て直しを図っていく。

読売ジャイアンツ


FA戦略はかなり渋め
意外にも補強は最小限?


 CS敗退を受けて大型補強が予想されたが、静かな冬を迎えている。噂されるのが、FAを宣言したヤクルト・相川亮二と、DeNA・金城龍彦という来季39歳コンビと、かなり渋め。ただし、一塁専念となる阿部慎之助の代役として考えれば、相川は十分な経験者で、年齢からも小林誠司を育てながらの併用が可能だ。経験豊富な金城も今季の井端弘和外野手版のような役回りで、代打としても計算できる。来季に勝負を懸ける現実路線と考えれば、有意義な補強となるのではないか。終盤戦に故障離脱の菅野智之、大竹寛の両右腕も秋季練習で元気な姿を見せており、意外にも補強は最小限で、現有戦力底上げに目を向ける可能性も。

阪神タイガース


鳥谷の穴を埋め、中継ぎ陣の安定を

 外国人は4人ともタイトルを獲得。特に新加入したゴメスと呉昇桓は、投打の柱となった。そのことからも来季もこの4人で新外国人の補強はないだろう。一方で、懸案事項は遊撃手をどうするか。チームの顔であった鳥谷が海外移籍でFA行使する可能性が高いため、遊撃手獲得が急務になった。そこでメジャーで結果を残せていない中島裕之に攻勢をかけ、獲得を目指している。不調に終りそうなら日本ハムからFAした大引啓次を狙うか!? 投手では左のセットアッパー的存在を探したいところ。そういう意味では宮西尚生が日本ハム残留を宣言したのは痛かった。ドラフトでは即戦力投手を獲得、さらなる投手陣強化を図る。

広島東洋カープ


ドラフト本命外しで補強は外国人へシフト

 24年ぶりのリーグ優勝を目指すチームの一番の課題は、1年間先発ローテーションを任せることができる即戦力投手の確保にあるが、先のドラフト会議では1位入札した有原航平(早大)の交渉権獲得に失敗。投手補強については外国人にシフトした。左腕・ジョンソンはバリントンの穴を埋める第一候補。抑え候補として左腕のザガースキーも獲得した。また、一塁、三塁を守れるグスマンを獲得。こちらはエルドレッドロサリオとの使い分けに頭を悩まされることになりそうだ。ドラフト加入組ではドラフト1位の野間峻祥が外野の一角として期待大。社会人出身左腕の飯田哲矢も即戦力と見込まれている。

中日ドラゴンズ


捕手補強は白紙
新ドミニカンがカギに


 谷繁元信兼任監督がいまだに最多出場(87試合)している捕手は補強ポイントだが、争奪戦に加わる予定だった炭谷銀次朗の残留が決まり、プランは白紙に戻った。FA宣言した相川亮二は来季に39歳という年齢から積極的な動きはなく、捕手の大型補強は難しい。谷繁兼任監督が今季終了報告を行った際には、白井文吾オーナーから「補強は監督の思うようにやってくれ」とバックアップを得ており、10月28日には森ヘッドコーチが選手獲得のためにドミニカ共和国へ出発。総額5億円とも言われる大型予算で、「先発2人と外野手」と補強プランを明言。その助っ人の質が、来季の順位を左右しそうだ。

横浜DeNAベイスターズ


先行きが見えない補強…
計算できる助っ人獲得を!


 14年は先発した左腕が1勝も挙げることができないという“左腕欠乏症”に陥った。その課題を解消すべく成瀬善久の獲得調査に乗り出したがヤクルト最有力との報道。さらに先発投手陣に厚みを持たせようと松坂大輔を狙うもソフトバンク有力との見方。そこで今季限りで広島を退団するミコライオに興味を示している。1枚でも2枚でも欲しい投手陣だけに今後の動向に注目だ。一方の攻撃陣。ブランコ、バルディリスの去就は依然不明のまま。グリエルはキューバ野球連盟次第ということもあり、こちらも停滞している状況。来季に向けて戦力ダウンは避けたいだけに計算できる助っ人の獲得を期待したい。

東京ヤクルトスワローズ


投手、遊撃手を徹底調査
成瀬、大引の獲得なるか


 今季のヤクルトは12球団最低のチーム防御率4.62と先発、リリーフともに崩壊状態だった。その状況を打破すべく、ロッテからFA宣言し、関東の球団を希望している成瀬善久の獲得に乗り出した。さらに広島の退団が決定したバリントンも調査中。チームはロマンと来季の契約を結ぶことがほぼ決定的となっているため、今後は助っ人投手の獲得に大きな動きはなさそう。また今季も遊撃手を固定できなかった。そこで日本ハムの大引啓次も調査中だ。日本ハムへの移籍2年目でキャプテンを務めるなどそのリーダーシップにも定評があり、若い選手が多いヤクルトにとってはノドから手が出るほど欲しい選手である。
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