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クローザーへ適性は、かねてより伝えられてきた。新人年から2年連続の2ケタ勝利を挙げるなど先発に対するこだわりは強く、その力も示してきたが、自らが生きる最良の道を歩むべく、リリーフ転向、そしてクローザー挑戦を決断。タイトル獲得でチームに貢献することを誓った。
取材・構成=坂本匠 写真=大泉謙也

3つのアウトと+アルファの力


 明確な目標を追いかける今、一切の妥協を許さない。リリーフ転向後、初の実戦登板となった2月13日の紅白戦では、阿部慎之助村田修一亀井善行の中軸3人をテンポよく内野ゴロに打ち取る十分な内容も、「フォームのバランスが悪かった」と自らをバッサリ。日々、進化を求め、ストイックに練習に打ち込んでいる。

2月13日、リリーフ転向後、紅白戦で初の実戦登板。阿部慎之助(写真)、村田修一、亀井善行の主力3人を計12球で封じ(すべて内野ゴロ)、首脳陣に“クローザー”を猛アピールした



──昨年は2月3日に右肩違和感を訴えて離脱していますから比較にはなりませんが、今季はここまでとても良い状態でキャンプを過ごしているのではないですか。

澤村 右肩に関しては、今でも痛くなるんじゃないか、と怖くなるときもありますが、そうならないように、このオフは肩の強化に取り組みました。病院にも頻繁に足を運びましたし、極端な話、これで痛くなったらしょうがないな、と思えるくらい準備をしてきたつもりです。

──見事にビルドアップされた下半身と、以前よりもはるかに大きく発達した上半身に、継続してきたトレーニングの成果を感じます。

澤村 入団1年目のころは、体を大きく、強くすることを目的にしていましたが、5年目を迎えてある程度の力が付いたので、今は強さよりも、しなやかさを求めています。筋力がついたからこそ、それをうまく使いこなしたい。よく、投球の際の力の配分を、『ゼロからリリースの瞬間に一気に100』と言う方がいるのですが、僕は初動から少しずつ、体の各部位をしなやかに連動させながら力を集めて、リリースで100に持って行けるようにしたい。これまでは力感はあったかもしれませんが、しなやかさはないし、自分の持っている力をボールに100伝えることもできていないこともあるので、まだまだですね。今季はリリーフに転向したので、これまで以上に多くの試合に投げることになります。理想の体の使い方を、コンスタントにできるようにしないといけないですね。

──そのリリーフ転向は、昨年の秋季練習中に原辰徳監督から打診を受けたと聞きました。先発にこだわりのある澤村選手ですから、迷いもあったのではないですか。

澤村 いや、実はそうでもないんですよ。僕、3年目(13年)にリリーフを経験させていただいていて、僅差で勝っている試合だとか、同点の終盤とか、良い場面で使っていただきました。そこでは結構、抑えていて、中日の森野(将彦)さんにホームランを打たれた1失点だけ(※この年のリリーフ成績は12試合で防御率0.63)。昨年初めにケガをして、復帰したあと、先発をやらせてもらったんですが、『リリーフの方が向いているんじゃないか』と、感じることがあって。3年目まではすごく先発にこだわっていましたけど、4年目からは違いましたね。

──経験したことで、自分の力の生かしどころがリリーフだと、選択肢に考えられるようになった。

澤村 そうですね。大げさに言うと・・・

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