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DeNAには三浦大輔久保康友といった大黒柱が存在するが、次世代のエースと目されているのが、昨季11勝を挙げた井納翔一だ。しかし本人は、「エースは要らない」と持論を展開する。その胸の内には、勝利に対するシンプルな考えがあった。
取材・構成=高橋透 写真=内田孝治、BBM

エースじゃなくてもチームに貢献できる


 昨季、12勝の久保康友に次ぐ11勝を挙げ、DeNAのCS進出争いに貢献した新エース候補。3月10、11日に開催される侍ジャパンの強化試合(対欧州選抜)にも選ばれ、今回で小久保裕紀代表監督就任以降、すべてとなる3回連続3度目(13年台湾遠征、14年日米野球)の選出となった。球界を代表する投手として、その地位を築き始めている入団3年目の若武者。果たして一体、どんなエース像を描いているのか――。

「正直……エースにはまったく興味がありません。昨シーズンは結果的に11勝を挙げることができましたが、前半(9勝)と後半(2勝)では雲泥の差。2ケタと言っても昨年だけ(プロ1年目の13年は5勝)。やはり2、3年続けて実績を作って、初めてエースと言われ始めると思うんです。監督やコーチ、チームメート、ファンの人たちがエースと言うことであって、自分は本当にやるべきことをチームのために、という思いでやっているだけです。

 僕の考えですが、そもそもエースって要らないと思うんです。先発ローテーションに入った投手は誰もが勝とうと思って投げているわけですし、1イニングでも長くマウンドに立ちたいと思っている。投手陣全員が一つの勝ちを目指して一生懸命やっている。だから、特別な人を一人だけ決める意味ってあるのかなって……。あくまでも僕の考えですけどね」

「一人だけ特別な人を決める意味ってあるのかなって」と語る井納


 久保の12勝を筆頭にモスコーソが9勝、6月から先発に転向した山口俊が8勝を挙げるなど、先発陣がそれなりの結果を残した14年のDeNA先発投手陣。

 そんなチームメートに対し、井納は「全員がエース」と言う。井納にとってエースの意味とは、「先発投手は勝ち星を積み重ねること」、「チームを勝利に導く」という考え方が前提にある。

「エースじゃなくても1年間しっかり戦うことができれば、チームに貢献できます。だから、エースになろうとは思っていません。もちろん、高校生のときはエース(=背番号1)になりたいっていう思いはありましたけど、プロは143試合行い、先発投手が必ず5、6人いるわけですから。

 その意味でエース像を強いて挙げるとすれば、巨人の“三本柱”が記憶にあります。槙原(寛己)さん、桑田(真澄)さん、斎藤(雅樹)さんのときの巨人。3人のうち誰というわけではなく、3人ともエースだったと思います」

 さらに具体的な理想のエース像はないと話す。そんな井納の目にも広島前田健太が醸し出す雰囲気は特別に映っているようだ・・・

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