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メジャー戦記2015

ダルビッシュ有 独占インタビュー「MLB全体でケガを未然に防ぐ環境作りが必要」

 


ニッポン球界のエースが海を渡ってから約3年の月日が流れた。メジャー挑戦1年目からセンセーショナルな活躍を見せた一方で、日本時代にはなかった大きなケガに苦しむ苦悩の日々も送った。そこにさらに追い打ちをかけるかのように、3月8日(日本時間)に衝撃のニュースが飛び込んできた。同月5日のロイヤルズとのオープン戦で初登板したダルビッシュが右上腕の張りのために1回12球で途中降板。本人は軽傷を強調していたが、その後に行われたMRI検査の結果、右ヒジ内側の側副じん帯を痛めていたことが判明した。最悪は手術(トミー・ジョン手術)の可能性もあり、開幕は絶望となった。28歳の若き右腕を襲ったさらなる試練。それでも過去に何度もさまざまな大きな壁を乗り越えてきたダルビッシュ。いまは背番号11の1日も早い復帰を待ちたい。
取材日=2月21日(現地時間)
取材・構成=松井進作(本誌特派) 写真=桜井ひとし(本誌特派) 取材協力=テキサス・レンジャーズ

ダルビッシュが投げかけた「中4日登板」の是非


 メジャー・リーグ30球団のスプリングトレーニングが始まる直前の2月18日、アメリカ球界でエポックメーキングなニュースが流れた。ニューヨーク・ヤンキースのラリー・ロスチャイルド投手コーチが「4月と5月は6人の先発でローテーションを回す意向を持っている」と明かしたのだ。昨年のヤンキースは田中将大をはじめ、先発投手が次々と肩やヒジの故障で故障者リスト入り。さらにダルビッシュ有が「中4日の問題点」を投げかけたことも大きく関係しているのは間違いない。

 メジャーの野球が変わるかもしれない新たな動き。今回のインタビューは、このホットな話題からダルビッシュに切り込んでみた。

「登板間隔の問題は、もっと球界全体で議論をしていかないといけない」と語るダルビッシュ



──約1年半ぶりとなる『週刊ベースボール』のインタビューとなります。まずは現在メジャーで盛んに議論を交わされている「先発投手の中4日の是非」についての見解から聞かせていただけますか。

ダルビッシュ ヤンキースがシーズン序盤は先発を6人で回すローテーションを検討しているみたいですが、この問題はもっと(球団首脳が)話し合い、議論を重ねていかないといけないことですよね。

──事の発端の1つにダルビッシュ選手が昨年のオールスターゲームの前日に行われたメディアセッションの席で、「中4日」に異議を申し立てたことも大きく影響しているものと思われます。

ダルビッシュ いろいろと突き詰めて考えていくと、今回の件は経営側と選手側、2つの目線がありますよね。僕があの場で言ったのは、あくまでも経営側の話です。僕たち選手が「中4日は嫌だ、中5日、中6日の方がいい」と言うのはまた全然違う話ですから。それを踏まえた上で言いたいのは、これだけ肩やヒジを痛めたり、トミー・ジョン手術を受ける選手が続出すると球団側の損失は計り知れない。特に手術を受けると丸1年ぐらいは満足に投げることすらできなくなってしまいますから。それをいかに未然に回避するかを考えていくと、やっぱり球界全体でケガをさせない環境作りから始めていかないといけない。

──ダルビッシュ選手はかねてから原因は球数ではなく、登板間隔だと言われていました。

ダルビッシュ そうですね。肩は消耗品と言いますけど、僕は1試合で120球、130球、それこそ140球を投げても、登板間隔さえしっかり空ければ十分回復できると思っています。もちろん、理にかなった調整メニューやケアの仕方がすごく大事になってきますが。中4日と中5日、この24時間があるかないかで投手のヒジの状態は全然違ってきます。現状の中4日ではヒジの炎症が完全に取れないまま次の登板を迎えてしまうことも多いですから。

──以前にお話をうかがった際には、中4日と中5日の調整メニューも公開してくれました(小社刊『ダルビッシュ有の変化球バイブル・ハンディ版』に掲載)。独自のノウハウが随所に盛り込まれていて興味深いものでした。

ダルビッシュ ただ、あれからいろいろと試行錯誤しながらメニュー自体はまた変わっていますけど、そういったものを作っておくと自分が何をやればいいかが明確になりますから。その話に付随してじゃないですけど、昨年のシーズン終盤にレンジャーズのトレーナーから「日本で中6日の場合はどういったメニューで調整していたんだ?」と聞かれて僕がおすすめするベーシックなメニューを伝えたんです。それがどうやら今シーズンからどこかのマイナーか下部組織のリーグでそのメニューが採用され、1年間試験的にやらせてみることになったみたいで。

※このメニューはあくまでもダルビッシュ有がおすすめするメニューであって、本人が実際に行っているメニューとは一部異なります。



──自身が考案したオリジナルの調整メニューで若い投手たちの育成を行っていくと。

ダルビッシュ どこのリーグで、どこのチームかは分からないんですけど、レンジャーズのジーミー・リードというトレーナーのトップの方から伝えられました。それがどれだけ効果があるかは分かりませんが、自分の発信したものが少しでも何かの手助けにつながるならいいことだなと。特にまだ体も技術も発展途上のマイナーの若い投手たちにぜひ試してほしいメニューですから・・・

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