黒田の投球の神髄はどういった点にあるのか。3試合目の先発となった4月11日の阪神戦(甲子園)から、野球評論家の荒木大輔氏に解説してもらった。 いい意味で力が抜けて焦りがないピッチングはさすが
4月11日の阪神戦(甲子園)で見事に2勝目をマークした
黒田博樹投手ですが、この試合は調子自体、あまりいいようには見えませんでした。投球の軸となるツーシームもあまり変化せず、球も全体的に高めへ行っていましたから。しかし、ベストな状態でなくても、6回2失点と試合をつくるのはさすがです。いわゆるクオリティースタートをクリアできるのも、やはり精神面で余裕があることが大きな要因であるように感じました。
メジャー移籍前の黒田投手は、「きっちりとコースに投げなければいけない」と常に完璧を求めているピッチングだったように思います。さらに、先発したなら最後まで投げ切る。実際に完投が多い投手でしたし、そういった「力が入った」形でマウンドに上がっていたように思います。
しかし、メジャーを経験して
広島に復帰した現在は違います。象徴的だったのが6回のピッチングでしょう。1点を失って5対2となって、さらに一死満塁。このピンチに代打で
新井良太選手を打席に迎えます。1ストライクの後、内角へツーシームを2球続けましたが、「当ててもいい」という感じでしっかりと投げ込んでいました。中途半端に投げて傷口を広げるよりも、きっと死球でも1点だと割り切っていたのでしょう。最後は外角のスライダーで空振り三振に斬って取り、続く
関本賢太郎選手も中飛に仕留めて、このピンチを脱しました。
これも精神的な余裕がなせる業。力み、焦りというのがコントロールミスにつながり、それが痛打につながることは多いのですが、黒田投手は・・・
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