週刊ベースボールONLINE


早実の先輩・荒木大輔が後輩スラッガーへエール”

 

荒木氏は5度、甲子園出場を果たしたが、清宮は果たして?



早実で1年生から注目を浴びた選手と言えば荒木大輔氏の名前が思い浮かぶ。高1夏から5季連続甲子園出場を果たし、全国にフィーバーを巻き起こした。投手と打者の違いはあるが、荒木先輩がエールを送る。

写真=BBM

プレーする姿に感じられる“雰囲気


 4月12日、八王子市民球場で行われた早大学院戦に足を運びましたが、早実のユニフォームに身を包んだ後輩を見て、まず「雰囲気があるな」と思いました。打席で余裕が感じられますし、精神的にもゆとりがあるな、と。清宮(幸太郎)選手をそういった状態にさせているのは、初等部から在籍していて雰囲気になじみやすいということもあったと思いますが、早実の校風が大いに影響しているのも確かでしょう。

 野球部も私の高校時代から、最低限の礼儀や仕事をこなしていれば、それでOK。別に先輩を差し置いて1年生がレギュラーとして試合に出ているからと言って、変なやっかみはありませんし、非常に野球に集中することができる。これは意外と大きいことでしょう。

 だからこそ、積極的なプレーもできるのではと感じますね。印象的だったのは一塁ゴロをさばいたシーンです。ボテボテの当たりで普通なら待って処理するところを、素早く前に突っ込んでショートバウンドでキャッチして二塁へ送球。こういった姿勢は彼のスタイルでしょうし、早実野球部の雰囲気がそれを後押ししているように感じました。

 打撃でも、それが見受けられます。ファーストストライクからドンドン振っていくことに躊躇がない。スイングも鋭いですし、積極的に力強くバットを振ってピッチャーにプレッシャーを与えていますね。ミスショットをしてセカンドフライに倒れた打席もあったのですが、その飛球の上がり方にもド肝を抜かれました。プロの打球かと見まがうくらいに、高く上がったのです。底知れぬパワーを感じますね。

 確実にとらえたら、どこまでも飛ばしそうでしたし、実際に次の試合で見事に高校第1号本塁打を放っています。まだ、体が全体的にポチャッとしているので、もっともっと絞っていけばよりシャープになって、それがさらに打撃に生きてくると思いますね。

 これからは強い相手と当たって、そこでいろいろと学びながら進化していってほしいです。私自身も高校1年生から甲子園という大舞台を経験できたのが大きかった。全国の舞台でレベルが高い選手と対戦することで、自分の足りないところが明確になりましたし、大会後にそれを課題としてクリアしていくという作業を続け、徐々に技術を向上させることができましたから。

 あとはとにかくケガだけは気を付けてほしい。体のケアも怠らないようにしてほしいですね。それと、周囲もあまり騒ぎ過ぎないようにすることも必要。球界の未来を担う可能性がある逸材ですし、マスコミも含めて彼が順調に育つように見守っていくことも非常に大切なことだと思います。

PROFILE

あらき・だいすけ●1964年5月6日生まれ。東京都出身。右投右打。早実高1年時に夏の甲子園で決勝進出。その大会から春夏5季連続甲子園出場を果たし、大ちゃんフィーバーを巻き起こす。83年ドラフト1位でヤクルトに入団。86年に2ケタ勝利をマーク。89年から3年間は右ヒジの故障などで登板できなかったが、93年に復活して8勝。96年に横浜に移り、同年限りで引退した。その後は西武、ヤクルトでコーチを歴任し、14年からは評論家として活動している。
特集記事

特集記事

著名選手から知る人ぞ知る選手まで多様なラインナップでお届けするインビューや対談、掘り下げ記事。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング