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掛布雅之が語る真の四番論

 

現役時代24歳で阪神の四番に座り、本塁打王3回、打点王1回、3割超え4回。そして阪神の唯一の日本一に貢献したミスタータイガース・掛布雅之氏。四番として輝かしい経歴を持つだけに「真の四番」とは何かという考えも持っている。そこで今回は「四番」についてその条件とは何が必要か、を語ってもらった。
取材・構成=椎屋博幸、写真=BBM



 現代の野球は、昔の野球とは少し変化してきており、チームが勝つための最優先のオーダーになっています。それにより、四番が試合のたびに代わったりしているので、昔のようなすべての試合で「四番」を任せるという打者を育てにくくなっているのが現状ではないでしょうか。

 また常に勝ち続けなければいけないチーム、特に巨人や最近の阪神では、育成をしながら四番を育てていくということが非常に難しいですし、そうするためには監督が腹をくくらないといけません。そういう意味では巨人も阪神も、新しい未来に向けの四番を作っていくのは厳しい環境にありますよね。巨人では大田泰示にその可能性がありますが、1年間四番として据えるのは難しいでしょうから、どう育っていくのか楽しみです。

 阪神では……横田慎太郎という身体能力の高い打者がいます。しかし彼は糸井(嘉男=オリックス)や柳田(悠岐=ソフトバンク)タイプの打者で一、三番が適任とは思っています。ただ、四番としての可能性もあるので、じっくり見たいですね。

四番としての3つの要素


 さて、私の考える「四番論」ですが、試合を支配できる四番として3つの要素があります。

 まず1つ目。

「30本塁打と3割を打つこと」

 四番はホームランを打つことが大きな仕事でもあるわけです。しかし、それだけでは試合を支配したことにはならない。やはり打率で3割を打てるようになって初めて「四番」なのだと思います。西武のおかわり君(中村剛也)のホームランは豪快で、素晴らしい。でも、何か物足りない。日本ハム中田翔にしても同じ。なぜか? 二人とも打率が低い。.250くらいでは物足りなさ過ぎます。怖さがあっても確実性がないから、ここ一番での恐怖心が感じられない。「怖さ」と「確実性」の2つが備われば、ものすごく怖い四番打者になるんです。だからこそ、3割は打たないといけないと思います。

「チームのため打席でいかに我慢できるか」

 私は田淵(幸一)さんが移籍された後、24歳(1979年)で四番を任されました。このときは、チームの勝利のためと思いながらも、個人の記録も考えて打席に立っていたのは事実です。ただ85年に日本一になってから考え方が変わりました・・・

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