瀬戸内高3年の夏、広島大会で再試合までもつれた決勝を制したことで注目を集めた山岡泰輔。生命線であるスライダーは、甲子園の映像を見たダルビッシュが舌を巻くほどのキレ味だ。 取材・構成=中里浩章 写真=福地和男 独特なリリース感覚が生む超絶なキレ味
スライダーは僕にとって大きな武器です。出合いは高校時代。僕はもともと「指先で切る」という動作が苦手で、中学では緩いカーブしか投げられませんでした。そして高校へ入学し、2つ上の先輩がスライダーでバンバン空振りを取っていたのを見て「教えてください」と。
最初は自分の目の前ですぐバウンドしてしまいましたが、指先に引っ掛かる感覚が良かったので「コントロールさえつけば使えるな」と思いました。そこから「この辺に投げればこの辺に行く」という感覚をつかむまで、ひたすらネットスロー。修得するまでに半年ほどかかったため、試合で投げ始めたのは2年春ですが、横に大きく曲がって打者がワンバウンドでも空振りしてくれたので、投球がとても楽になりました。さらに社会人では制球を磨き、ストライクゾーンでの投げ分けもできるように。
打者に「ストライクゾーンへのスライダーがある」と思わせるだけで狙いを絞りにくくさせることができますし、実際に直球への振り遅れも増えた。投球の幅は広がったと思いますね。
握り方としては中指を縫い目に沿わせ、親指を縫い目のふくらんでいる部分に掛けます。前述のように僕は指先で切るのが得意ではないので、中指全体を縫い目にくっつけている方がギリギリまで引っ掛かる感覚があるんです。そして腕を強く振り、リリース時に指先で捻って強い回転を掛けていく。中指と親指でパチンと音を鳴らすイメージに近く、「親指で押し込む」という表現が分かりやすいかもしれません。実際、高校時代などはスライダーを多投していたため、親指の付け根がつってしまうこともよくありました。
(前)2種類あるスライダーのうち、山岡の代名詞とも呼べる“横”の握り。中指を縫い目に添わせる
(左)親指の先は縫い目のふくらみの部分に掛ける
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