浮き沈みの激しい今季を「ジェットコースターのようだ」と指揮官は表現する。混沌としたセ・リーグの状況を生み出した要因の一つにDeNAの戦いぶりがあるのは間違いない。ペナントレースの折り返しを迎える今、中畑ベイスターズの再浮上はあるのだろうか。 取材・構成=滝川和臣 写真=井田新輔(インタビュー)、BBM 「全チーム5割」を開幕前から予想
「よし、やろうか!」
こちらが圧倒されるほどのエネルギーを放ち、監督はインタビュールームに入ってきた。首位快走から前代未聞の大失速、そして12連敗。いい意味でも、悪い意味でも話題の中心だったDeNA。しかし、指揮官は就任4年目で初めて手応えをチームに感じている。
──開幕からここまで(取材日7月3日)を振り返って、率直な感想は?
中畑 いい思いをさせてもらったという感じかな。5月から首位に1カ月ほど立って、今まで経験したことのないゾーンでやらせてもらった。そのあと、交流戦に入って散々な結果になったけど、選手は首位で野球ができる楽しさを感じてくれただろうし、そして12連敗の怖さも実感した。高いところに立って負ける悔しさと、最初から弱いチームが負ける悔しさは、全然違うものがあると思うんだよ。それには経験しかない。今年は両方を味わってくれているので、選手が一皮むけて成長できる1年になるんじゃないかと期待しているよ。ここからが本当の意味でのウチの戦いになるだろうね。
──セ・リーグ混戦の要因をどう見ていますか。
中畑 (監督として)4年間戦えば、各チームの戦力というのは補強具合を見ればだいたい見えてくるよ。
巨人が少し落ちて、
ヤクルトが上がってくるかな……とは想像していたね。それによってセ・リーグがいいバランスで混戦になることは分かっていたんだ。だから俺は開幕前から「全チームが5割のシーズンだってあるぞ」と言い続けていたわけで、どのチームにも1位の可能性があって、どのチームにも6位になる危険性がある。優勝と最下位が背中合わせのシーズン。混戦はある程度、予想どおりだよね。
──5月に首位に立ったのは予想外だったと?
中畑 だから気持ちよかったのよ(笑)。あれっ、これおかしいよなって思いながら戦っていたよ。だって4月に7連敗があって、そこから貯金11までいって首位だもの。正直に言えば、これは異常だなって思った。あまりにもうまく行き過ぎたから。
山崎康晃という完璧なるストッパーが現れて、1点勝っていれば、間違いなく9回を逃げ切れる。勝利の方程式が見えていたし、先行されても逆転できる感覚があったよね。とはいっても、このまま首位を突っ走れるとは思っていなかった。7連敗したチームだから、間違いなく同じような連敗をするからと、わざと選手には言っていたよ。そして12連敗。あの連敗は、野球の神様がチームに警鐘を鳴らしてくれたんだ。「なめんじゃないよ。お前のチームは10年早いんだよ」と言われた気がしたよ。
──そうした状況の中で、印象に残った試合はありますか。
中畑 手応えを感じたのは名古屋での
中日戦(5月2日、ナゴヤドーム)。9回裏、二死走者なしから福谷から2点差をひっくり返して勝った試合。筒香の内野安打で一気に逆転までもっていった。あそこから今年は奇跡を起こせるチームだと感じられたし、「逆転のDeNA」というイメージが出来上がってきた。相手が怖がる打線のイメージもつくれた。そして連勝が始まったんだ。逆にやられ出したのは、交流戦の雨の
ロッテ戦(5月29日、QVCマリン)での逆転負け。すごくダメージが大きかった。言い訳になってしまうけど雨という自然に負けて勝ち試合を落として、勢いを止められた感じがあったな。あの試合が、そのあとの交流戦の流れをつくってしまったな。交流戦では確かに、パ・リーグの対戦投手は手強かったけど、半分でも勝っていれば、まだ首位でいられたよ。全部が言い訳だけどね。負けの原因はすべて監督にあるのよ。
──今後のカギは投手陣ですか。
中畑 先発、中継ぎの充実に尽きる。ウチは今、ストッパーは安定感あるので、いかにつなげるか。それだけだね。それがハマってくれば再び快進撃する可能性はある・・・
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