文=大内隆雄 写真=前島進 阪神優勝には藤浪の試合は絶対必勝
そして、少ない得点を守り抜くこと
今季は9月3日終了時点で23試合164回12勝6敗、防御率2.52とエースと呼ぶに相応しい成績を残している藤浪
今年のセ・リーグのV争いは、本当に先が読めない。連勝のあと連敗(特に
巨人にこの傾向顕著)のパターンが多く(連敗のあと連勝もよくある)、上位3チーム(
阪神、
ヤクルト、巨人=8月31日現在の順位)は強いのだか弱いのだかサッパリ分からない(まあ、強くはないのだろうが)。こういう戦いだから、阪神ファンも、首位をキープしていても「10年ぶりの優勝だ!」と、単純にイレ込む気分にはなれなかったことだろう。
8月23日の対
DeNA戦(京セラドーム)で
メッセンジャーが11三振を奪って3連勝(3対1)を果たし、2位巨人とのゲーム差を2.5、貯金を8としたときは、さすがの疑り深い(?)ファンも「いけるで!」となったかもしれない。残り試合はもう「30」だ。
これは指揮官も手応えを感じたようで、
和田豊監督は「(その前の巨人戦3連敗を踏まえて)選手たちは、やり直すという気持ちを持っている。一戦一戦全力での気持ちでやってくれている」とコブシに力を込めた。
だがちょっと待て。3連敗のあとの3連勝。そろそろバイオリズムはここから下り坂にと見ることもできる。これは意地悪ではなく、今年の傾向からの推論なのである。
案の定だった。25日の対
広島戦(マツダ広島)を雨で流すと、まさに流れが変わった。26日の同カード、相手の先発はジョンソン。トラが苦手とするコイのサウスポー。ジョンソンは、阪神打線を8回まで無失点に抑え、楽々10勝目(2対4)。阪神はこれで対ジョンソン25イニング連続無得点。負け投手になったのは、広島をカモにしている(ここまで9勝中4勝)
能見篤史だったのも、流れが変わったことを感じさせた。5回持たずに3失点KO。打線の援護があれば、何とかなるかもしれない3失点だったが、阪神打線は12安打3四球と15人も出塁させながら2得点。ゴメス、
マートンの四、五番がノーヒットというのが痛かった。
ゴメスは無言、マートンは「いい投球をされたが、次に対戦するときはいい勝負ができれば」。この時点で、広島戦は残り10試合。どのカードよりも多い。“ジョンソン恐怖症”をまず取り除かないことには試合にならない。
しかし、27日には“マエケン恐怖症”が待っていた。広島の先発・
前田健太は、阪神打線を8回まで無失点に抑え、6年連続の2ケタ勝利をマークした(0対2)。7回を1失点の阪神の先発・
岩田稔を見殺しにした格好だが、負けるときはそんなものだろう。和田監督は「前田は何本もヒットを打てる投手じゃない。バント失敗、エンドランの失敗じゃあねえ」とガックリ。阪神危うし! しかし、そう簡単に言えないところが、今年のセ・リーグの難しさ。阪神にとって一番の難敵・巨人がヤクルトとの“2位攻防戦”(神宮)でなんと3タテを食らったのだ。3連敗後、巨人・
原辰徳監督は「見てのとおり。チームを前に進ませる一本が出ませんね」。この嘆き、そのまま、阪神ファンの嘆きと言ってもいいぐらいだが、今年のセ・リーグ、実は全チームがこの嘆きに包まれていると言ってよい・・・
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