取材・文=鶴田成秀 走者なしでも、セットポジションで投じる。これが
高橋純平の計り知れぬ力を物語り、彼が目指す“理想の投手”をも体現している。
3試合で26三振を奪った今春のセンバツで、直球のキレと威力は実証済み。最速は152キロを計測し、この夏も地方大会から注目を集めた。だが、夏を前に左太ももを痛め、今夏の岐阜大会での登板は、1回2/3のみ。チームは準決勝で敗れた。
8月に入り、U-18ワールドカップに向けて投球練習を再開。そして迎えた世界舞台は、いきなり初登板で衝撃を与えた。1次ラウンド第3戦のオーストラリア戦。9回に登板し、31球を投じたが、そのうちの29球が直球。ナイトゲームで「捕手のサインが見えなくて」と、苦笑いしながら直球勝負の真相を明かすも、2三振を奪う圧巻の投球を見せた。
それでも、二死から安打と2四球で満塁のピンチを招き、「ボール球が多かった。安定感ではまだまだ」。反省の弁が続くのは、安定感を心がけているからこそ。常にセットで投げるのも、その意識からだ。
「フォームがシンプルで制球が安定するんです。未完成な部分が多いのでケガもした。バランスを整えるためにも、セットで投げているんです」
次々と相手バットが空を切る直球を投じながら、安定感を重視。直球だけを追い求めれば、どんなボールを投げるのか。制球を度外視した直球も見てみたいが、安定感を求めるのは、先を見据えた理由がある。
「自分の軸は真っすぐ。スピードとキレを磨いていきたい。でも、木製バットの打者と対戦して・・・
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