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特集・新生スワローズ14年ぶりV

スワローズ優勝を支えた3人のベテラン

 

歓喜の瞬間、強い男たちの目に光るものがあった。ついていくことに必死だった入団時から、今は後輩たちを引っ張るベテランのポジションにいる。若い選手が多いヤクルトだが、彼らの存在と活躍がなければ、今季の優勝はなかった。ここでは日本人投手最年長の石川雅規、レギュラー野手最年長の畠山和洋、そして優勝を決めるサヨナラ打を放った雄平をクローズアップする。

石川雅規・悔しさとともに歩んだ14年間


今季中4日、中5日と大事な場面で登板を続けた石川。チームメートの手によって、神宮で3度舞った



 届きそうで届かなかった場所に、ついにたどり着いた。石川雅規の頬を涙がつたい、ともに戦い抜いた仲間の手によって3度宙を舞った。

 2年連続最下位、それよりも悔しかったのは昨季の投手陣の成績だった。リーグ最強の打線をもってしても勝ちを拾うことができず、投手力で負けたと言われた。自身10度目の2ケタ勝利、自身初の1対0での完封勝利……。まさに孤軍奮闘の働きだったが、一人の力で上を狙っていけるほど、甘い世界ではない。

 今季、並々ならぬ思いでシーズンを迎えた。「ピッチャーで1試合でも多く勝てる試合を増やそう」。これが投手陣の合言葉になった。

 前回の優勝を果たした2001年。その翌年に入団した石川は「優勝はすぐ手に届くのかなと漠然と思っていた」という。だが14年間、優勝は一度も果たせなかった。11年には2位に最大8ゲーム差をつけ、優勝をつかみかけながら、その栄冠はこぼれ落ちた。このときの悔しさは深く石川の心に刻み込まれている。

「あのときの悔しさがあるので、1戦必勝。(優勝が)決まるまで1プレーを大事にしていきたい」

 9月27日、2位・巨人との天王山(東京ドーム)。中4日での登板は石川には関係なかった。「後悔だけはしたくない」。この思いが5回1失点、さらには先制打の原動力になった。この勝利でマジック3が点灯。この試合を落せば優勝はなかったかもしれない。それだけ重要な1戦だった。プロ14年、毎年欠かさず24試合以上登板しているタフな167センチ左腕には大事にしていることがある。

「困ったときにはいきたいし、常にいる存在でいたい。ローテーションに穴を空けるってすごく大変なことだと分かっているので。もちろん勝たなきゃいけないですけど、ローテーションを守るということは最低限の目標と思っています。それができなくなったら終わりかなと」

 春季キャンプで真中監督が言った「野手は1点でも多く取って、投手は1点でも少なく失点を防ごう」。この言葉が野球の原点を思い出させてくれた。負ける悔しさ、勝つ喜びと難しさ。それらに加えて35歳を迎えた石川の中に新たに加わった感情がある。「優勝ってこんなにうれしいんだ」

畠山和洋・勝つチームに変えた男


「1つ勝つことの難しさ、1プレーの大事さを痛感した。本当に素晴らしいチームになった」と今季の戦いを振り返った



 14年前とはまったく違うチームになった。「今のチームは良くも悪くもフレンドリー」と話すのは畠山和洋。2001年の優勝時はルーキーイヤーで一軍出場はおろか「一軍に出たいとも考えていなかった」という。そのころのヤクルトは真中満現監督を始め、古田敦也宮本慎也らそうそうたるメンバーで、一塁には岩村明憲がいた。「とにかく強いチームでレベルの違いもすごく感じた」。3年目に初めて一軍キャンプに参加したときには「雰囲気に耐えられなかった」とシートノックさえも苦痛だった。春季キャンプが終わり髪を切りに行くと「円形ハゲができていたんだよ」と、その過酷さを笑顔で振り返った・・・

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