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特集・2016年 栄光のドライチ
大学生ドライチたちの“即戦力度”を探る

 

今ドラフトの1位指名は大学生が近年になく豊作だった。各球団は即戦力として期待しているわけだが、チームの状況によって新戦力に求められる役割は変わってくる。大学生ドライチが1年目に果たすべき役割をチェックしていこう。

阪神・高山俊/「安打製造機」が「大砲」へ変貌を遂げる


たかやま・しゅん●1993年4月18日生まれ。千葉県出身。181cm86kg、右投左打。日大三高-明大。東京六大学で48年ぶりに通算安打記録更新のヒットメーカー



 世代屈指のヒットメーカーがプロの舞台で目指すものとは──。金本知憲新監督率いる新生タイガースのドラフト1位・高山俊。「超変革」のスローガンの下、チームの一員としてあるべき姿を想像したとき、一つの答えが浮かび上がる。一発で流れを変えることができる打者。かつての指揮官のように、本塁打を打てる長距離ヒッターを理想に掲げる。

「金本監督のような選手になれるように、一から勉強していきたいと思っています。これからは長距離打者を目指していきます」

 東京六大学の通算安打記録更新の大きな期待がかかっていた4年生シーズン。高山は「軽打」を念頭に打席に入っていたという。

「ヒットゾーンに運ぶような打撃をしていました。難しい内角の球には手を出さなかったり、逆方向に打ったり。記録を意識していました」

 明大・高田繁(現DeNA・GM)が持つ最多安打のリーグ記録を塗り替え、通算131安打という金字塔を打ち立てた。「神宮の安打製造機」と呼ばれ、プロからの評価もうなぎ登り。だがその中で金本監督が注目したのは、秘めたる長打力だった。
 
 「将来的に三番、四番を打てる可能性がある選手ということで選んだ。ホームランを打てる打者を目指してほしい」

 ヤクルト真中満監督が引き起こしたドラフト史に残る“ハプニング”の後、交渉権を手にした指揮官は期待感を口にした。

 181センチ、86キロの恵まれた体と、プロ球界でも屈指のスイングスピード(専用器具で計測し161.8キロ。ソフトバンクの柳田は157キロ)。伸びしろも計り知れない。日大三高時は3度甲子園の土を踏み、2本塁打。高校通算は32発と実績にも裏打ちされる。本人も長打力に磨きをかけるつもりだ。

 阪神に6年間在籍したマートンが、今季限りで退団。不動であり続けた左翼のポジションには、外野も守れるヘイグが加入したが、そこは空席になっている。
 
 「スイングスピードには自信があります。期待に応えられるようになりたいですし、強い信念を持って、いい選手になりたいと思います」

 新人王や将来的なトリプルスリーの期待もかかる大器。現在は10月に修復手術を受けた右手有鈎骨(ゆうこうこつ)のリハビリに励む。「安打製造機」から「大砲」へ──。プロの舞台で“大変身”を遂げる。

広島・岡田明丈/即戦力というだけでなく伸びしろもある素材型


おかだ・あきたけ●1993年10月18日生まれ。東京都出身。185cm82kg、右投左打。大商大高-大商大。関西六大学で通算30試合、15勝3敗、防御率1.08の剛腕



 広島のドラフト1位・岡田明丈(大商大)は大きな期待を背負っている。単独指名に成功したドラフト会議中、緒方孝市監督は「先発ローテーションを空けて待っている」と明言した。契約金1億円プラス出来高5000万円、年俸1500万円(推定)はともに最高額での契約で、背番号は「17」。期待の大きさが表れている。

 即戦力を求めなければいけないチーム事情があった。3年ぶりのBクラスに終わった今オフ、前田健太はポスティングシステム(PS)によるメジャー・リーグ移籍、黒田博樹は現役引退の可能性がそれぞれある。すでに前田のPSは容認された。最悪の場合、黒田も抜ける。今季2人で55試合、376イニング、26勝を数える。その数字だけでなく、精神的支柱を失う損失は計り知れない。だからこそ現場は、今年のドラフトで2、3年先ではなく、来季の即戦力を求めた。数人残った最終候補の中、選ばれたのが岡田だった・・・

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