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特集・2015-16 戦力補強最前線
ヤクルト・坂口智隆インタビュー「大引には負けんようにします(笑)」

 

2015年オフ、自由契約となり新天地で再出発を誓った。拾われた身だということは分かっている。それでもプロ13年間で培ってきた経験と自信は色褪せることなく、坂口智隆の中に宿っている。だから、スタート地点はゼロではない。“2”だ。
取材・構成=阿部ちはる、写真=川口洋邦

初めて離れる地元。東京は怖い!?


 ヤクルトの入団会見で「拾ってもらったことに感謝の気持ちでいっぱいです」と坂口智隆は語った。2011年に最多安打を獲得し、14年にはオリックスの2位躍進に貢献。15年も開幕一軍スタートだった。だが、ケガなどの影響で出場機会に恵まれず、一軍に定着した08年以来、自己最少の36試合出場にとどまると、オフの契約更改の際に大幅ダウンを提示される。そこで選んだのは、新たな道に進むことだった。自由契約となり、ヤクルトへの入団を決意。その入団会見直後に心境を聞いた。

――会見お疲れ様でした。緊張しましたか?

坂口 そうですね。こういった会見はもちろん初めてですし、どんな感じでしゃべったらいいんやろか、って。初めての場所ではやっぱり気を使いますね。



――新しいチームに来ることになりましたが、大引啓次選手とはオリックス時代のチームメートです。

坂口 そうですね。森岡(良介)もプライベートで仲がいいので知っている選手もいます。同級生には大引、森岡のほかに、雄平、今浪(隆博)、あとバレンティンがいます。

――入団会見の際には「ヤクルトはさわやかなイメージがある」とおっしゃっていました。

坂口 そのさわやかなチームにふさわしい感じに今さら僕はなれないので、さわやかな笑顔は心がけていこうかなと思いますね(笑)。

――黒髪になっていたことやヒゲを剃っていたことに、とても驚きました。

坂口 どうですか?さわやかですか?(笑)。

――とてもさわやかです。そういったところからも決意を感じました。

坂口 はい。最初が肝心なので。



――兵庫県出身の坂口選手は神戸国際大付高卒業後に近鉄に入団(04年オフに球団統合があり、その後オリックスへ)していますから、初めて地元を離れることになります。

坂口 不安しかないですよね。遠征で泊まるホテルの名前とか、テレビで見るような有名な土地名しか知らないので。東京怖いです(笑)。

――13年間在籍したオリックスを離れることにもなります。現在の心境を聞かせてください。

坂口 一番はやっぱりずっと一緒にやってきてお世話になった選手はもちろん、裏方さんであったりトレーナーさん、バッティングピッチャーといった方々を含めたチームメートと離れてしまうというのは、素直に寂しいですね。移籍のことを考える上で、そこが一番悩んだところでもありますから。

――そのチームから移籍を決断した一番の理由を聞かせてください。

坂口 もちろん、プロ野球選手というのはお金で評価されますから、そういったことがまったく関係していないと言ったらウソになりますけど、でも一番は、勝負がしたいというところですよね。もちろん今まで結果を出せなかった自分が悪いわけで、そういう僕にとって、逆にこれをチャンスにしたいなという思いが強かったんです。残りの野球人生ももう何年あるかも分からないですし、これからだんだんベテランと言われる年齢になるので。せやったら、また勝負をさせていただけるところに行きたいな、というのが素直な気持ちです。

――勝負をしたいという気持ちはいつごろから感じていたのでしょうか。オフの契約なのか。シーズン中に自分の中で煮え切らない部分があったのか。

坂口 今年に関しては最後こそケガをして上がれなかったですけど、それ以前のシーズン中には、手応えを感じていた部分はあったので、モヤモヤしながら二軍でプレーしていた時期もありました。クソーって思う部分もありましたし。ですがこればっかりはタイミングもありますからね。チームどうこうじゃなく、チームの戦力になれていない自分に対しての悔しさもありました。テレビでナイターを見ることにだんだん慣れてくるのもイヤでしたから。

――そういったジレンマなどもある中で、だんだんとチャレンジしたいという気持ちが芽生えた。

坂口 チームメートと離れるということではすごく悩みましたけど、もしかしたら心のどこかでは、こういった話があった時点で“オリックスの坂口”じゃなく“野球選手としての坂口”の中ではスパッと意志は固まっていたんじゃないのかなと思いますね。

――新たなチームではどういった部分をアピールしていこうと考えていますか。

坂口 そうですね……やれる自信がなかったら、こういう決断はしないです。かといって僕がセールスポイントはここですと言ってしまうことには違和感があるんですよね。何年も結果を残していませんから。結果を残してから、セールスポイントは考えます。

――ですが、かつてはゴールデン・グラブ賞4度、11年には最多安打のタイトルも獲得しています。好守巧打のイメージが強くありますが。

坂口 2年前くらいまでやったら・・・

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