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新春特別企画
山田哲人&柳田悠岐 夢の“トリプルスリー”特別対談

 

2016年の主役を張る2人だ。15年を席巻したトリプルスリープレーヤーは、新シーズンに向けてもさらなる野望を抱いている。球界に新しい風を吹き込む若い2人による、新春を飾るにふさわしいスペシャル対談をお届けする。
構成=菊池仁志、写真=矢野寿明、高塩隆、湯浅芳昭



対極を行く2人の濃厚な打撃談議


2015年、ヤクルト山田哲人ソフトバンク柳田悠岐がトリプルスリーを達成した。同一シーズンに複数のトリプルスリープレーヤーが誕生するのは1950年(毎日・別当薫、松竹・岩本義行)以来、65年ぶりのことだった。日々努力を積み重ね、プロ野球界トップクラスの技術を身につけた2人は、それぞれの打撃理論を持っている。

山田柳田 おめでとうございます(笑)。

柳田 いやー、トリプルスリーってすごかったな。何が一番、難しかった?俺はホームランやった。

山田 僕もやっぱりホームランです。

柳田 簡単に打ってたじゃん。最後は一気にいったもんな(8月20日のDeNA戦から22日の中日戦まで3試合5本塁打で31号まで到達)。そこがスゴイわ。

山田 あのときはすごく調子が良かったんで、ラッキーだったんですよ。打てる気がけっこうしていました。ホームランが28本、29本、そのあたりになってくると緊張しませんでした?狙うようになったりして。

柳田 狙いまくりやったよ、マジで。盗塁は数が増えるにつれて、どんどんバッテリーのマークが厳しくなるやん。そこが大変じゃなかった?ホームランが一番難しいけど、そこが30にいった後は盗塁をどう増やすかしか考えてなかったもん。

山田 柳田さん、けっこう積極的にスタート仕掛けてましたもんね。

柳田 うん、いったろ!みたいな。1シーズンに2人がトリプルスリーって65年ぶりだって!65年前なんて、哲人はまだ生まれてない!

山田 柳田さんもじゃないですか(笑)。ていうか、親も生まれてないですよ!

柳田 ホンマや!そう考えたら、スゴイことやな。哲人のおかげでいい思い出ができたわ。

山田 歴史に名を刻みましたね。ありがとうございます!

柳田 ホームラン王に盗塁王って、タイトルも2つ!

山田 柳田さんも首位打者と最高出塁率ですよ。打率.363ってスゴイです。バケモノですよ。

柳田 これはラッキーだっただけよ。哲人は3部門のバランスがいいんよね。このバランス感が哲人のすごさ。やっぱり40本塁打40盗塁までいってほしいね。俺はどっちもしょぼいもん。

山田 それをやれるなら柳田さんですよ。打率だって、打球が抜けていっているんですから、運でもなんでもいいんです。ほとんどヒットにしている印象ですよね。

柳田 それは秋山(翔吾、西武)。アイツはヤバい。全部ヒットや!俺はトリプルスリーと言いながら出塁率を意識してやっていたんやけど、哲人は?

山田 僕も意識していましたよ。出塁することは頭にありました。ただ、時には自分でかえそうっていうときもあって、そういう部分の状況判断ですね。僕が意識していたのは。それにしても出塁率・469ってすごく高いですね。

柳田 そうね。フォアボールを取れば後ろにいいバッターがいっぱいいるし、塁に出ることに集中していればよかった。チームではかえそうっていうより塁に出ようっていう気持ちのほうが強いよ。それもチーム事情によるよな。

山田 柳田さんのバッティングを見ていて、すごく思うんですけど、逆方向に飛びますよね。あれが、すごくうらやましいんですよ。

柳田 俺は逆方向のほうがラクに打てる。左方向には上半身だけで打てるというか。引っ張るためには、下までうまく使わないといけない。

山田 僕のホームランはほとんどがセンターから左、引っ張りなんですよ。右にももう少し打てたら……。

柳田 ホームランが増える、というわけね。でも、俺が引っ張ろうと思ったらホームランが減るんよ。哲人も流してホームランを打ちたいと思ったら減ると思う。



山田 それは何となく分かります。柳田さんは体全体を使って打っていますよね。背筋とかスゴイでしょ。「ウワーッ」って振りますもん。

柳田 マジで!そう見える?軽く振ってるんやけど(笑)。

山田 本当ですか。体のパワーがしっかりボールに伝わっているスイングですよね。あれで軽く振っているんですか。

柳田 うん。インパクトしか意識していない。バットとボールが当たるところだけグーンと力を入れて、あとは何も力を入れないイメージ。

「バットとボールが当たるところだけグーンと力を入れる感じ」[柳田]



山田 横浜のスコアボードに当てたホームランは打った瞬間でしたよね(6月3日、対DeNA、投手・三浦大輔)。

柳田 そうやね。でも風よ。風の軌道に打球が乗った!

山田 (笑)。風があっても普通はあんなところまで飛びませんよ。バケモノやって思いましたよ。フルスイングしていますし、うまいのは力の伝え方。フルスイングすれば誰でも飛ぶわけではないですから。

柳田 哲人は……、応援歌がカッコ良過ぎる(笑)。それが一番ズルいわ。あれなら打てる。

山田 ハイ!正直、モチベーション上がります。

柳田 上がるよね。(読者の皆さんは)ユーチューブで調べてください。日本シリーズの神宮のとき、センターで口ずさんどったもん。すごい雰囲気やったわ。バッティングの技術的にはムダがない。足を上げたときにしっかり間が取れてるし、当たるまで何も考えずにスイングできる感じがする。間の取り方のうまさとスムーズなバットの出方が特長やね。

山田 僕が意識するのはタイミングですね。最初の足を上げるタイミングが大事で、自分のタイミングで始動することを考えます。

「意識するのはタイミング。しっかり始動することを考えます」[山田]



柳田 スイングの軌道とかは意識してないん?

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