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2016ドラフト特集 第1弾

2016年ドラフト情勢を探る 田中正義の“8球団競合越え”なるか!?

 


一人の男に人気が集中しそうな気配が漂う。創価大の156キロ右腕・田中正義(3年・創価高)は15年夏の時点でドラフト1位の立場を確立した。6月29日、プロの二軍(NPB選抜、神宮)を相手に7連続を含む8奪三振と圧倒。4イニングをパーフェクトに抑え、ネット裏に詰め掛けたスカウト陣を驚かせた。周辺ではある“極論”が浮上するなど、年明けの時点では一人勝ちの様相である。(年度表記はドラフトの開催年度)

創価大・田中正義をめぐり水面下で仰天プラン浮上!?




 大学生と社会人の有力選手に与えられていた逆指名(自由獲得枠、希望入団枠)が07年に撤廃されて以降、ドラフト1位指名は同時入札。つまり、12球団が横並びとなった。“水面下”で、にわかに話題となっているのが、創価大・田中正義(3年・創価高)をめぐる“仰天プラン”だ。2015年6月29日、侍ジャパン大学代表として登板したNPB選抜との壮行試合(神宮)。観衆2万人、プロ二軍を相手に4イニングを完全に封じ、7連続を含む8奪三振と圧倒した。大学ジャパンを率いた善波達也監督(明大)もエースに指名。2015年のドラフト対象選手と比較しても、複数球団から「No.1」の評価を得ていた。1年半後に控えたドラフトを前に、早くも「1位競合」が確実な情勢となったのだ。

 2016年のドラフト候補選手を見渡しても田中の“一人勝ち”。高校生、社会人を含めても対抗馬が見当たらない。単純評価ならばどのチームも、喉から手が出るほどほしい。そこで、12球団が一斉に156キロ右腕を入札して、抽選を行うのだ。これが、究極の“12球団競合計画”。全球団が入札すれば、全員が納得できる。16年の“運試し”を会場に足を運んだファンの前で行い、11球団横一線で第2回入札(外れ1位)に移る。ただ現実路線では、どのチームも最悪を想定して「抽選外れ」を考える。また、安全策に切り替えて当初から“評価2番手”を選択する戦略もあるが、現場で“仰天プラン”が浮上するほど飛び抜け、「10年に一人」と言われる存在なのである。



1990年のドラフト会議では亜大・小池秀郎に8球団が1位競合。2016年は創価大・田中をめぐり、26年前を超える争奪戦が予想される



 ただ、シーズンが本格化すれば田中の“一人横綱”の図式が変わる可能性はある。センバツ(3月20日開幕)出場が確実な大阪桐蔭高の左腕・高山優希は、15年の神宮大会準決勝(対高松商高)で150キロを計測。横浜高の右腕・藤平尚真も15年秋の県大会決勝で自己最速151キロをマークした。



高校生では大阪桐蔭・高山(上)と横浜・藤平の左右の剛腕が150キロ超えを果たしている。



 大学生では日大・京田陽太(3年・青森山田高)が攻守走で潜在能力が高く、「野手No.1」との声も。社会人では東京ガス・山岡泰輔(瀬戸内高)が高卒3年目、ストレートでのプロ入りを狙う。高校時代は素材の良さを、ダルビッシュ有(レンジャーズ)がツイッターに投稿したのは、あまりに有名なエピソードだ。



大学生では日大・京田(上)が「野手No.1」の呼び声が高く、社会人は東京ガスの高卒3年目右腕・山岡が社会人最大の祭典である都市対抗優勝とプロ入りを狙う



89年の新日鉄・野茂と90年の亜大・小池が重複最多


8球団 新日鉄堺・野茂英雄[1989年・近鉄1位]左は仰木監督



 かつてドラフト会議の名物の一つであった故・伊東一雄氏による司会ぶりが1989年、最も際立った場面である。「野茂!」「野茂!」……「野茂!」。新日鉄堺のトルネード・野茂英雄をめぐり、当時最多だった79年の早大・岡田彰布(6球団→阪神)を塗り替える8球団競合に、会場内は騒然となった。交渉権を手にしたのは最後にクジを引いた近鉄・仰木彬監督。翌90年にも亜大の左腕・小池秀郎に8球団が重複。小池はドラフト前に希望球団以外は拒否を明言。結果、意中ではないロッテが交渉権を得たことで、松下電器へ進んでいる(2年後に近鉄1位でプロ入り)。

8球団 亜大・小池秀郎[1990年・ロッテ1位]



 PL学園高・福留孝介は95年に7球団競合の末に近鉄が1位指名。佐々木恭介監督の「ヨッシャー!!」も実らず、交渉は不調に終わり、日本生命へ入社した(3年後に中日ドラフト1位)。最近は西武が“強運”を発揮。09年の花巻東高・菊池雄星、10年の早大・大石達也の6球団抽選で、渡辺久信監督が引き当てている。

 田中正義には26年ぶりに8球団競合の可能性がある。創価大は1月9日が始動日。15年の練習納め(12月19日)もNPB3球団が視察した。かつては「逆指名」を得るために新年早々、各球団は“誠意”を見せてきたが、どの程度の注目度になるか。春のリーグ戦が開幕する4月以降は、メジャーを含めた争奪戦が必至。だが、創価大・岸雅司監督は「少し大学で騒がれたくらいでは行っても無理だと思う。まずはNPBへ行ってからでも遅くはないな」と慎重な姿勢を見せている。
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